2014 Fiscal Year Research-status Report
植民地期朝鮮における不就学者の学びと教育支援活動に関する研究―「夜学」を中心に―
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26381066
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
李 正連 東京大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (60447810)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 夜学 / 私設学術講習所 / 不就学者 / 植民地期朝鮮 / オーラル・ヒストリー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、植民地期朝鮮における「夜学」経験者へのインタビュー調査(オーラル・ヒストリー)を通して、文献資料を中心に行われてきた従来の研究手法では明らかにできなかった当時の不就学者のための教育または朝鮮民衆による自主的な教育活動の実状とその特徴を究明し、植民地期朝鮮の教育をより多角的に描くことを目的としている。 植民地期朝鮮における「夜学」はその規模や運営形態が様々であり、その名称も夜学や学術講習所、学術講習会等と多様である。初年度の平成26年度は、その「夜学」の中でも比較的規模が大きくて、昼間に行われており、教科内容も学校教育に似たような形態で行われていた、いわゆる「私設学術講習所」を中心に考察した。従来の研究では、私設学術講習所、通称「夜学」は主として朝鮮民衆の「民族教育の場」としてとらえられてきたが、本研究ではそれらの夜学や講習所に実際通った経験者の語りを聞き出し、当時の「私設学術講習所」の実態をよりリアルに描き出すことによって、植民地期における朝鮮民衆の教育活動をとらえ直すことを試みた。すなわち、従来文献資料を中心とした研究方法を使い、主に民族教育や抗日運動の教育施設としてのみ捉えられがちであった夜学(私設学術講習所)に対する研究視点に疑義を呈し、夜学経験者のオーラル・ヒストリーを通して、夜学に対する当時の朝鮮民衆の期待や通うようになったきっかけ、学習や体験内容及び形態、満足度、周囲の反応等を明らかにし、その特質を析出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先行調査も含めて、これまで夜学や簡易学校の経験者約40名の経験者にインタビュー調査をしてきた。そのうち、今回は済州島の「明月塾」と全羅南道宝城郡の「養正院」という2つの私設学術講習所に注目し、両講習所に通った10名の経験者へのインタビュー調査をもとに考察し、その特質を明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
2年次の平成27年度も引き続き、植民地期に不就学者のために教育支援活動をしていた夜学等の経験者を発掘し、インタビュー(オーラル・ヒストリー)調査を進めていく。
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Research Products
(1 results)