2015 Fiscal Year Research-status Report
植民地期朝鮮における不就学者の学びと教育支援活動に関する研究―「夜学」を中心に―
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26381066
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
李 正連 東京大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (60447810)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 夜学 / 講習所 / 不就学者 / 女性 / オーラル・ヒストリー / 植民地朝鮮 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、植民地期朝鮮における「夜学」経験者のオーラル・ヒストリーを通して、文献資料を中心に行われてきた従来の研究手法では明らかにできなかった当時の不就学者のための教育または朝鮮民衆による自主的な教育活動の実状とその特徴を究明し、植民地期朝鮮の教育をより多角的に描くことを目的としている。 2年目の平成27年度は、前年度に引き続き、植民地期に夜学や講習所に通った経験を持つ人々にインタビューを行い続けた。そのインタビューの結果から、今年度はとくに女性に注目し、植民地期女性の学びにおける夜学の役割と意義について考察した。女性に注目する理由は、まず、当時の不就学者の多くが女性であり、その女性たちの教育を担ったのが主として夜学だったからである。第二に、学校に比べて、夜学は生徒の性比における女性の割合が比較的高いことや、第三に、女性生徒の場合、夜学に通った目的が家事・育児労働からの逃避や友達との遊びなど、必ずしも教育や学習欲求とは直接関係のない理由も多く見られることから、従来「教育の場」としてしかとらえられてこなかった「夜学」の違う側面が見られるからである。 夜学の設立趣旨に関係なく、不就学児童やその親は独立運動や民族教育のためということよりも、自らの生活向上や文化・教育欲求などを満たすために夜学に通っていた人が多かったと思われる。とくに、女子児童の場合はその大半が学校に行けないことから、学校文化経験の代替施設として夜学がとらえられていた面もあったといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度も引き続き夜学や講習所の経験者にインタビュー調査を行った。そのうち、今回は夜学や講習所の経験者のうち、女性に注目し、植民地期の女性の学びにおける夜学の役割とその特質を考察した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度も夜学経験者へのインタビュー調査を行いつつ、3年間の調査研究をもとに、植民地期朝鮮における夜学の実状とその意義について明らかにしたい。
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