2015 Fiscal Year Research-status Report
ドイツにおける自律的学校経営下の研修観の変容と教員研修の供給主体の多元化
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26381068
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
前原 健二 東京学芸大学, 教員養成カリキュラム開発研究センター, 教授 (40222286)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ドイツの教育 / 現職教員研修 / 地域化 / 学術化 / 成人教育施設 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、前年度に引き続き、研究目的に記載のドイツ・ニーダーザクセン州における現職教員研修改革の現状に関する訪問調査及び文献資料の収集と整理を行った。今年度は「分権化」された現職教員研修の担い手のうち、「大学」以外の機関を三ヵ所訪問し、研修企画の担当者にインタビューを行った。そこで得られた知見のうち重要なものは以下の諸点である。 ◎大学以外の機関で現職教員研修の引き受け手となったのは、いずれも長い活動実績のある成人教育施設であり、「教員」研修以外の一般成人向け講座も数多く開催している。◎教員研修講座については、専門の担当者が置かれて年間の企画、管理運営を行っている。◎現職教員研修の講座については、州中央からの要請によって必ず実施するべきプログラムと、各機関が任意に企画実施するプログラムがある。具体的データの提供を受けた一ヵ所についてみると、任意に企画実施するプログラムの方が圧倒的に多い。◎現職教員研修への教員の参加率は、州内の教員職能センターごとにかなり大きな違いがある。全体的に見て、(1)大学付置のセンターよりも、成人教育施設付置のセンターの方が参加率が高い傾向がある、(2)大都市部よりも、小都市部の方が参加率が高い傾向にある。 ニーダーザクセン州の現職教員研修改革は地域化(=地域の研修需要への即応性の向上)と学術化(=大学の専門的研究の成果の研修への反映)をモチーフとしたものと説明されており、したがって大学付置の教員職能センターが本来的な受託者と言えるが、研修の現状に即してみた場合はむしろ教員研修を成人の自己学習の長く豊かな歴史の中に位置づけ直すものとみることもできる、という重要な着想を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初想定していた訪問先のうち一ヵ所が担当者空席のため訪問不可能となっている。 文献資料の収集整理は当初の予定より遅れている。
以上の2点により「やや遅れている」を選択したが、その語感から感じられる程度よりは、予定通りに若干近い。
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Strategy for Future Research Activity |
2016年度の秋までに、2回の訪問調査を計画するべく訪問先と調整を進めている。これによって前年度までの訪問調査と合わせて、対象としている州の現職教員研修改革の全体像を現場サイドから把握する作業が完結する。 文献資料の収集聖地は、精力的に取り組む。
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Causes of Carryover |
2年度目に当たる2015年度中はほぼ当初予定通りに予算を使用した。1年度目に生じた未使用額分がそのまま繰り越される形で2年度目の未使用額が生じている。1年度目に実施できなかった訪問調査を2年度目に詰めて実施することができなかったことが理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度である3年度目に、9月及び10月の二回の訪問調査を実施するべく訪問先となるドイツ・ニーダーザクセン州のまた訪問していない現職教員職能センターに連絡を取る。 文献資料の収集整理を2016年度の前半までに精力的に行う。
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