2014 Fiscal Year Research-status Report
地域コミュニティにおける社会教育実践のジェンダー分析
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26381070
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
羽田野 慶子 福井大学, 教育地域科学部, 准教授 (50415353)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 公民館 / まちづくり |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度に行った研究の概要は以下のとおりである。 Ⅰ 福井市公民館調査: 福井市内には小学校区ごとに50の公民館が設置されており、それぞれの地区で住民の代表からなる運営審議会が事業の企画実施を調査審議する仕組みとなっている。各館では教育文化事業として、家庭教育、青年教育、成人教育、高齢者教育、少年教育、婦人教育等を目的別に主催しており、地区住民のニーズをふまえながら企画運営されている。本研究では、福井大学で実施している公民館主事を主たる対象とする長期研修である、履修証明プログラム「学び合うコミュニティを培う」を受講した福井市内の公民館主事を対象に、公民館活動の実情と課題について聴き取りを行った。 Ⅱ 福井市中心市街地まちづくり活動の実践分析: 福井市では現在、「第2期福井市中心市街地活性化基本計画」(平成25年度~29年度)に基づき福井駅周辺の再開発・まちづくりを進めている。官民協働の持続可能なまちづくりが掲げられているが、福井市では公民館活動が盛んである一方で、NPOなどの市民団体が比較的少なく、住民、とりわけ若者や女性、流入者など、伝統的な地域団体に属さない人々を巻き込んだまちづくりの取り組みは十分になされていない。2013年7月に設置された「福井市まちづくりセンター(通称フクタス)」等を活用した福井市中心市街地のまちづくり活動として、大学生による小学生の子どもを対象としたまちづくりワークショップの事例について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初は福井市内の公民館に対する全館アンケートを計画していたが、公民館活動とそれに従事する専門職である主事の直面する課題をケースごとに掘り下げて検討することがより適切であると判断し、アンケート調査ではなく研修プログラムを活用した聞き取り調査に変更して実施した。 福井市中心市街地のまちづくり実践については、福井市中心市街地活性化マネジメント会議への参画と、大学生のまちづくり活動の継続的なサポートを通じて、若者による地域活性化の側面と、若者の地域参画によるキャリア支援の側面の両面から、社会教育活動の意義を検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は以下の研究を実施予定である。 Ⅰ 福井県の男女共同参画学習に関する調査: 福井県では総合女性センターと生涯学習推進センターの複合施設である県直営の福井県生活学習館(ユー・アイふくい)を拠点に男女共同参画学習を実施しているが、2013年度より、学習事業の企画運営をふくい女性財団(公益財団法人)に移行させ、同時に事業内容の大幅な見直しを行っている。具体的には、地域女性団体の意向を酌んだ地域づくり人材育成、女性問題学習を削減し、「働く女性の活躍支援」を掲げ、就労女性の職場での地位向上とワークライフバランスの実現、男性向け男女共同参画学習の充実に比重を移した。新しい事業方針が対象として想定している20代~40代の男女は、これまで男女共同参画学習への参加が少なかった層であり、新たな学習プログラムの開発が進められているところである。以上のような福井県の新しい方針に基づく男女共同参画学習のプログラム分析および参加者調査、をふくい女性財団の協力を得ながら実施する。
Ⅱ 福井市におけるジェンダーの視点を取り入れたまちづくり活動の調査および他都市との比較: これまで継続してきた大学生によるまちづくり活動の今後の展開として、子育て支援団体との協働による「子連れで歩けるお散歩マップの作成」が計画されており、ジェンダーの視点を生かした若者によるまちづくり活動の事例として、新たな分析対象とする。また、男性育児者・男性介護者の支援事業の充実を全国的にも先駆けて実施するなど注目すべき実践に取り組んでる静岡市や、このたび性的少数者のパートナーシップ条例を成立させた渋谷区の男女平等・ダイバーシティセンターの取り組み等を他都市の先進事例として検討する。
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Causes of Carryover |
ノートパソコン、および統計解析ソフトSPSSの購入を平成26年度中に予定していたが、購入予定の物品が品切れで年度中の納品に間に合わなかったことと、アンケート調査の予定を次年度以降に回したため、実際のアンケート調査分析の段階になってから統計解析ソフトの最新バージョンを購入することが望ましいと判断したことから、それらの購入に充てる予定であった金額を次年度に繰り越すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ノートパソコン(約250,000円)、および統計解析ソフトSPSS(約200,000円)を購入する予定である。
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