2015 Fiscal Year Research-status Report
メンタライゼーションに介入する教員養成課程学生への精神保健教育システムの開発研究
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26381073
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
森 孝宏 京都教育大学, 教育学部, 教授 (70387538)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | メンタライゼーション / 大学生 / 精神保健 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年4月の大学新入生健康診断において、平成26年4月実施のCMI健康調査票及び従来の質問紙による健康調査に加えて、メンタライゼーションに準拠した質問紙法を追加した。具体的には既存のアタッチメント形式およびリフレクティブ機能の調査に加えて、平成26年度のイギリスでの現地調査から構想を得たメンタライゼーションに関する調査を加えて実施した。この新入生調査結果を基本に当該学生支援の基礎データーとして活用するシステムを構築した。 平成27年度も継続してメンタライゼーションに関する文献を入手調査し、欧米先進国における現状理解を深めた。 海外調査研究として、平成27年9月にイタリア・パヴィア大学を訪問し、メンタライゼーションに関する国際会議に出席するとともに、メンタラーゼーション概念の創始者の1人であるAnthony W. Bateman精神科教授から直接学ぶことができた。 研究報告としては、平成27年6月26日第56回日本心身医学会総会にて口演発表「メンタライゼーションに基づく心身相関理解は、新しい時代の求めに応えられるか?」を行い、本研究成果の一部を発表することができた。研究成果の社会還元においては京都教育大学の学部生対象講義「健康科学論」「心理生理学」、同大学院教育学研究科の院生対象講義「心身医学特論」「精神医学特論」において、講義内容のグローバル化および最新の知見を教育することができるようになった。加えて京都市教育相談総合センター主催の「不登校フォーラム」分科会講師として、京都府総合教育センター上級講習の講師として研究成果を還元することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、前年度の成果を経て作成した大学新入生のメンタライゼーション評価が実施できた。実際に直接尋ねたかった研究上の課題に対してAnthony W. Bateman精神科教授から貴重な知見を得ることができた。 6月に日本心身医学会総会でポスターではなく口演発表として選ばれ研究成果を発表することができた。発表内容から、学会誌に発表するよう依頼され、現在初稿を提出し、査読者からの意見を得て最終稿を執筆中である。
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Strategy for Future Research Activity |
調査研究地である欧州において、難民問題やギリシャ危機に端を発する混乱があって、現地調査研究には慎重さが求められている。これからも思春期青年期特に大学生の精神保健上重要と思われる研究についてさらに文献上の情報収集を続けていく。現地調査については、安全を確保して必要な調査に絞り実施していく。研究成果の最終的な論文発表を平成28年度中に行う。
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Causes of Carryover |
ユーロでの外貨建ての日本円換算、洋書の物品費の円建て予定価格と実価格との差があり、予算超過にならないよう慎重に支出した結果、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後の使用計画については、予算超過にならないよう、かつ最終年度の決算に問題ないよう慎重に使用していく。
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