2016 Fiscal Year Research-status Report
幼小接続期における戸惑いへの対処とそれを支えるシステムの構築
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26381077
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Research Institution | National Institute for Educational Policy Research |
Principal Investigator |
掘越 紀香 国立教育政策研究所, 幼児教育研究センター, 総括研究官 (80336247)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 幼小接続 / 戸惑い / 学びに向かう力 / 保育者養成 / カリキュラム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,1)幼小接続期の年長児から1年生までの縦断観察から,子供たちの就学での戸惑いにどのように対処していくのかについて,学びに向かう力等の視点から検討すること,2)幼小接続期の配慮について,保育者や教師,学童指導員へのインタビューにより検討すること,3)保育者養成での幼小接続期に関するプログラムやカリキュラムについて検討することを目的とした。28年度の進捗状況と成果の概要は以下の通りである。 1)1年生の観察ビデオから,生活や活動学習場面での事例から,「戸惑い」の他,社会情動的スキルとして「育ち・学びを支える力」(好奇心,自己主張,自己調整,粘り強さ,協同性)に関わる行動,教師の対応を抽出した。 2)保育者養成での幼小接続に関するカリキュラムの検討として,保幼小連携・幼小接続に関する授業実態を,シラバスでの関連用語の出現数から分析した。結果として,保幼小連携・幼小接続に関する授業は,短大70校,4大78校の148校中97校で開講されていた。学校種による違いはなかったが,取得可能免許資格での違いがあり,保幼小免許資格が取得可能な場合,保幼小連携・幼小接続に関する授業が複数開講される傾向があった。シラバス上の保幼小連携・幼小接続に関する用語は546で,連携・接続が過半数を占めた。総論や概論では保幼小連携・幼小接続の基本的な内容を単発で扱っていたが,冠科目(保幼小連携・幼小接続の内容に特化した科目)や生活科では基本的な定義,育ちと学びの連続性,スタートカリキュラム等を複数回多面的に取り上げていた。次期要領では「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」が記載され,幼児教育と小学校教育との接続の一層の強化が目指されている。今後養成校において計画的に取り上げて学ぶ機会を保障することが必要だろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
所属での業務(プロジェクト研究,国際調査)等が重なって多忙となり,進捗に遅れが生じたため,平成29年度まで研究期間を1年延長した。 1)小学1年生の小学校生活での「戸惑い」や「育ち・学びを支える力」の抽出と分析が遅延した。なお,レジリエンスの視点を広げ,社会情動的スキルとして「育ち・学びを支える力」を取り上げる方向へ転換した。 2)業務多忙の理由により,追加の学童指導員へのインタビュー等を実施できず,結果のまとめまでに至らなかった。 3)保育者養成校の幼小接続に関するカリキュラムの検討に関して,大学・短大への質問紙調査とシラバスを分析し,学会発表と論文化を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
1)1年生のビデオ観察データの「戸惑い」「育ち・学びを支える力」に関わる行動の抽出と分析を進めるために,生活場面と学習場面を選択し,ビデオからの抽出作業に関わる補助者の協力を得る。教師の指導・援助も考慮して分析する。 2)追加の学童指導員へのインタビュー等を実施して,就学前施設,小学校,学童保育,教育委員会,保育者養成校等の幼小接続を支えるシステムについて考察する。
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Causes of Carryover |
研究の進捗状況の遅延により,インタビュー調査と成果発表の旅費,ビデオ起こしと「戸惑い」「育ち・学びを支える力」に関わる行動の抽出等の研究補助の人件費・謝金を次年度に繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
以下の通り,使用予定である。 1)インタビュー調査,学会等の出張旅費 2)インタビューのテープ起こしの謝金,ビデオ起こし等の研究補助の人件費
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Research Products
(2 results)