2016 Fiscal Year Annual Research Report
Education program for the regional theatre management - For the realization of the socially engaged theatre in Japan
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26381078
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
五島 朋子 鳥取大学, 地域学部, 教授 (80403369)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アートマネジメント / 公共劇場 / 人材育成 / 地域課題 / リージョナル・シアター / 地域住民 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は①前年度に実施した住民による劇場評価に関する質問紙調査分析のまとめ、②アメリカの非営利劇場スタッフへの聞き取り調査の実施とまとめ、③以上を踏まえた地域型劇場マネジメントに求められるスタッフ育成のために必要な条件について検討した。 ①では、事業への参加が、劇場のもつ様々な社会的役割についても住民の評価を高めることが確認された。一方、劇場が課題対応型の事業を実施しても、当該地域住民の抱える課題意識との接点が少なければ、評価や期待は低調なことが分かった。劇場の事業展開の目的と成果を、幅広い住民に的確に伝えていくことが、劇場と地域住民との共感醸成には必須であることを調査は示した。②については、80年以上の歴史を持つ非営利劇場オレゴン・シェイクスピア・フェスティバルの管理部門スタッフへの聞き取りを実施した。劇場は都市部から離れた小規模都市を拠点としており、交通や集客面では非常に条件不利といえる。それゆえ、集客の維持拡大と地域住民との良好な関係づくりには、これまで大きな努力が払われてきた経緯があり、劇場が抱える課題と地域特性の関係が把握しやすく、スタッフ間で課題意識が共有されていることが明確であった。アメリカにおいてリージョナル・シアターは1960年代の隆盛以来、非営利劇場のマネジメントという専門領域を成立させ、教育、資金調達、マーケティング等管理部門のスタッフの専門性はそれぞれ確立されているが、特に、異なる地域、異なる特性の劇場でポストを選択・移動することが、地域課題に対応した劇場マネジメントの柔軟な実践に繋がることが示唆された。③以上から、地域型劇場マネジメント人材には、劇場が立地する地域社会の特性や課題に対する関心や知識の醸成が求められること、また人材育成には、異なる地域における複数の劇場・文化施設間の人的交流とそのための仕組みづくりが大きな意義を持つ可能性が示された。
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Remarks |
論文「創造集団が運営する劇場と地域住民の関係構築に関する考察ー住民を対象とした質問紙調査をもとに」として、『アートマネジメント研究』(第17号)に投稿中。結果待ち。
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Research Products
(1 results)