2016 Fiscal Year Annual Research Report
Measuring Mismatch in Teacher labor market: A Survey of Graduate School of Professional Development of Teachers in Japan
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26381088
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
村山 詩帆 佐賀大学, 全学教育機構, 准教授 (30380786)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 和昭 名古屋大学, 高等教育研究センター, 准教授 (20582886)
梶原 郁郎 愛媛大学, 教育学部, 准教授 (30390016)
渡部 芳栄 岩手県立大学, 高等教育推進センター, 准教授 (60508076)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 教職大学院 / 専門職学位課程 / シグナリング・ミスマッチ / ガバナンス |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度実績をまとめた論文を年度初めに学会誌へ投稿することを予定していたが、データ分析や結果の解釈等で共同執筆者との意思統一が難航したため、投稿を見送ることにした。このため、投稿を予定していた原稿のうち、研究代表者が担当した箇所について、国勢調査や学校教員統計などの既存統計を加えて再分析を行った。 再分析にあたって、初等・中等教育に従事する教員の労働市場における需給バランスに注目し、大学院修了者のシェアを伸ばしながら、中央政府によるサプライサイドの改革を通して、教員養成系は不完全な競争市場に苛まれるようになっていることを明らかにした。教職大学院をめぐるシグナリング過程からも、教員養成系の市場を拡大させるほど高学歴化を加速するようなプレミアムは生じていなかった。これらの分析を通して、サプライサイドの改革がもたらすシグナリング・ミスマッチは、中央政府のみならず、人事・財政の権限を有する地方政府を介して引き起こされている側面があり、教員派遣人事への依存を強める教職大学院の設置によって、地方政府に対する大学の自律性は低下していく可能性が導かれた。 得られた知見は「日本の教職大学院におけるサプライサイドの改革とガバナンスの変容」と題して、日本教育社会学会第68回大会にて発表し、近く刊行を予定している書籍(編者は早稲田大学教育・総合科学学術院の吉田文教授)の一章として脱稿した。 また、教員の労働市場における需給バランスについて、進学校に通う地方の高校生の職業アスピレーションを分析することでさらなる検討を加えた。地方のエリート的な高校生にとって、教員養成系より医療・保健系の高等教育機関が地域志向の受け皿になっている可能性を示す知見が得られた。分析の結果は、「東北地方における高校生の移動と定着―青森・岩手・福島3県の進学校に着目して―」と題して、日本教育学会第75回大会で発表した。
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Research Products
(4 results)