2017 Fiscal Year Annual Research Report
Research on lifelong learning measures to solve isolation of parenting environment
Project/Area Number |
26381089
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
背戸 博史 琉球大学, 地域連携推進機構, 教授 (50305215)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 生涯学習 / 子育て支援 / 家庭教育支援 / 子育て環境の孤立化 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、子育て環境の孤立化状況に対する子育て支援施策の在り方について、同じく生涯学習施策の一環である家庭教育支援施策との比較から、北海道札幌市トモエ幼稚園、沖縄県那覇市調査、山梨県甲府市調査を行った。 これまでの研究過程において、子育て支援施策は主に就学前の幼児を対象とし、ひろば型コミュニティの設置等による子育て家族間の交流を担保するとともに同施設等に専門家を配置し、気になる子どもや保護者へのアプローチをするケースが一般的であることが分かっている。同取組は福祉行政の一環としてなされることが一般的であるが、NPO等民間事業者の柔軟性と専門性に拠りながら、個々のニーズへの対応が主なものとなっていた。少子化対策およびまちづくりの観点から施策化されることもひとつの傾向である。支援のベクトルから言えば、基本的に「親の負担を軽減させる」ことが在るべきひとつの方向性となっている。 一方、家庭教育支援施策は主に教育行政の文脈から着手されることが多く、子育て支援施策同様に幼児期を含みつつも学齢期へと対象を拡大させていく。「親同士の学び合い」というプロセスを重視する点でより生涯学習施策の色合いを濃くするものであるが、その一方で、確たる子育て手法や伝達すべき規範が想定されているケースが多い点において、個別ニーズへの対応はあまり想定されず、支援のベクトルは基本的に「在るべき親象の体得」を目的とするものとなっている。 核家族化や都市化による子育て環境の孤立化に対しては子育て支援施策が一定の有効性を持つことが判明した。また、親の参加意思を前提とする子育て支援施策の限界を、学校を通じた家庭教育支援施策がカバーする構造にあることも判明した。子育てに関する高い志向性によって周囲から孤立するケースにあっては、個性的な教育理念を掲げる私立学校等がそれを糾合し、ある種のコミュニティとして機能する構造にあった。
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