• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2014 Fiscal Year Research-status Report

複合的困難を抱える子どもの共同体意識形成のための支援モデルに向けたフィールド調査

Research Project

Project/Area Number 26381100
Research InstitutionHosei University

Principal Investigator

遠藤 野ゆり  法政大学, キャリアデザイン学部, 准教授 (20550932)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 大塚 類  青山学院大学, 教育人間科学部, 准教授 (20635867)
Project Period (FY) 2014-04-01 – 2017-03-31
Keywords複合的困難 / 移民・外国籍 / 発達障害 / 不登校 / 貧困 / 事例研究 / 現象学
Outline of Annual Research Achievements

本年度は、生活保護世帯の多いある小学校でのフィールド調査、および脱地域型のフリースクールでのフィールド調査を行った。小学校では、片親家庭の子どもの情緒的安定の難しさが、他の子どもへの暴力といった形で出やすい事例が散見された。また教師も、複数の子どもに接する中で、深刻な子どもへの対応が後回しになる(できるところから対応していくため)といった事態が明らかになった。特に、低学力と家庭状況の複雑さとがからむことによって、学習意欲を喪失した子どもを、授業にいかに向き合わせるか、その難しさが明らかになった。解決的な支援として、ボランティアの活用が重要である。調査者がボランティアとして子どもたちに関わることにより、教師にできるわずかな余裕が、少なくとも事態の一層の悪化を食い止めている様子がうかがえた。と同時に、ボランティア一人ひとりの力量の差異もあり、ボランティアがいればよいわけではない、という実態が明らかになった。
フリースクールでは、子どもの状況を子細にアセスメントできる利が生かされて、個々の子どもに対応できる事例が多く集まった。他方で、当の子ども自身の意欲減退や、進路をつくっていくための経済的資源の不足から、義務教育年齢を卒業した後の子どもたちの自立にはいまだ困難が多く残っている。
またイギリスの移民率の高い工業都市での学校の取り組みを調査した。移民は経済的資源が乏しいだけでなく、言語の壁もあって情報にアクセスできない家庭の問題など、多元的な問題を含んでいる。しかしこうした状況に対応する個々の施策をしても、当人が情報にアクセスできないため、必要な人に支援できないという問題がある。そこで、学校が、問題の集約を担い、困った家庭はまず学校に行くことでその支援先を紹介してもらえるシステムがあることなどが明らかになった。
その他、現象学の文献研究を進めている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

現在、地域密着型の支援としての公立学校での調査は予定どおり進行している。深刻な3つの事例の継続的調査の他に、1つの離島の公立小学校での取り組みの断続的な調査が実施されている。
フリースクールの調査も順調に進んでいる。多くの事例の中で、居場所型の支援の限界が明らかになりつつある。
イギリスでの調査では、移民率先進国の新しい取り組みが明らかになっている。
また、現象学については、フッサールの遺稿を、研究分担者と共に研究会を実施しつつ読み進めている。
予定通り進んでいないのは、脱地域型の支援としてのシェルターでの調査で、これは、プライバシー保護の観点から、研究成果を報告することが難しいという問題が生じている。

Strategy for Future Research Activity

おおむね予定通り進行していく。
シェルターでの調査に少し行き詰まりはあるが、その分は、別の脱地域型の支援でのフィールド調査で補える者と考えられる。
それ以外のフィールド調査は順調である。
また自尊感情についての心理学的アプローチを進める中で、一見すると問題なく見える大学生たちの自尊感情の低さも新たな問題テーマとなっている。その中には、「恋愛できない」という形で一見すると深刻ではなく表出される問題もあり、若者特有の、深刻ぶることを忌避する傾向ゆえに見えにくくなっている問題についても積極的に今後アプローチしていく。

Causes of Carryover

シェルターでの調査が十分に実施できなかったために、その間の経費が使用されなかった。また、文献研究では、心理学よりも現象学に初年度はベースを置いて実施した。その結果、文献の数としてはあまり購入数が多くならなかった。

Expenditure Plan for Carryover Budget

心理学分野の文献研究はさらに実施する。その購入費にあてる。また、シェルターでの調査の代替として、フリースクールでのフィールド調査、およびインタビューの実施などを行うため、その謝金として必要になる。
公立学校での調査が、調査先の御厚意により、さらに頻度を上げられそうなので、その実施分の所費に充てる。

  • Research Products

    (6 results)

All 2015 2014

All Journal Article (3 results) (of which Open Access: 1 results,  Peer Reviewed: 1 results) Presentation (3 results)

  • [Journal Article] ミラーニューロンをめぐる研究動向の検証─神 経細胞水準からみる「他者」の色合いの解明に向けて─」『生涯学習とキャ リアデザイン2015

    • Author(s)
      遠藤野ゆり
    • Journal Title

      生涯学習とキャ リアデザイン

      Volume: 12 Pages: 37-45

    • Open Access
  • [Journal Article] 存在を肯うべなわれること 自らを振り返ること2015

    • Author(s)
      遠藤野ゆり
    • Journal Title

      刑政

      Volume: 126 Pages: 38-47

  • [Journal Article] 事例研究から子どもを理解する――児童養護施設での「別れの引き受け方」に着目して2014

    • Author(s)
      大塚類
    • Journal Title

      こころの科学

      Volume: 178 Pages: 97-103

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 人から見られることによる身体の際立ちの意味─『ふつう』であることの 背後にひそむ困難に目を向けて─2014

    • Author(s)
      遠藤野ゆり・大塚類
    • Organizer
      人間性心理学会第33回大会研究発表
    • Place of Presentation
      南山大学(愛知県名古屋市)
    • Year and Date
      2014-10-10 – 2014-10-12
  • [Presentation] おとなが子どもの〈肩代わり〉をすることの意味2014

    • Author(s)
      大塚類・遠藤野ゆり
    • Organizer
      」人間性心理学会第33回 大会研究発表
    • Place of Presentation
      南山大学(愛知県名古屋市)
    • Year and Date
      2014-10-10 – 2014-10-12
  • [Presentation] Surveillance study of teacher’s morality,2014

    • Author(s)
      Tokuko Kawasaki, Koji Kosugi, Noyuri Endo, Rui Ohtsuka
    • Organizer
      the 29th International Congress of Applied Psychology
    • Place of Presentation
      Palais des congres de Paris(フランス)
    • Year and Date
      2014-07-09 – 2014-07-12

URL: 

Published: 2016-05-27  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi