2014 Fiscal Year Research-status Report
国際成人教育協議会の発展過程におけるリージョン組織との関係に関する研究
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26381101
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
荒井 容子 法政大学, 社会学部, 教授 (70287837)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 成人教育運動 / 国際成人教育協議会 / 国際成人教育会議 / 社会教育 / 生涯学習 / 社会運動 / ASPBAE |
Outline of Annual Research Achievements |
国際成人教育協議会(ICAE)のリージョン組織で、ICAEに先立って1964年に発足したアジア・太平洋成人教育事務所(現 アジア・太平洋成人基礎教育協会(ASPBAE))は2013年度から歴史を振り返り、今後の活動方針を議論するイベントを重ね、2014年度はその集大成として、インドネシアで50周年記念大会、Festival of Learningを開催した。この大会及び上記の継続イベントで入手した資料の検討によって、改めて以下のことが分った。 1 ASPBAEの創設について、日本では1964年にシドニーでの「成人のノンフォーマル教育に関するユネスコ・アジア地域セミナーが開催された時」に「陽(ママ)の目をみた」とされていたが、これは「ノンフォーマル教育」ではなく、「成人教育における学校と大学の役割」に関するセミナーであったことが分かった(現事務局長Maria Khan氏の2013年11月セミナーでの配布文書より)。 2 前述の継続イベントでの作成資料の一つ「Daring to Grow」資料版には1966年8月に発行されたASPBAE Journal第1号、1960年代にASPBAEが実施した成人識字教育、成人教育者に関するセミナーの報告書の表紙写真が掲載されており、その存在が分かった。 3 ASPBAEの設立の淵源に国際的及びリージョンごとの協力・交流を呼びかけた第2回ユネスコ成人教育会議(1960年)があったと現ASPBAEが認識していることも分かり、これは同会議発展史上の重要な位置と関わって、注目して分析する必要があることが分った。 4 ASPBAEが2000年以降積極的にリージョン内と各国の成人教育運動の組織化に取り組んできたこと(前述のDaring to Grow印刷版で明記)の実例として、2014年大会でのミャンマーの運動との関係が確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
1 資料収集及びその整理について-特に資料整理の遅延について 資料収集、インタビュー等、この間、関連する国際会議、研究大会に積極的に参加して、手さぐりで情報収集に務めてきたが、入手資料・情報の体系的整理には、情報量がまだ圧倒的に不足しており、資料整理・分析になかなか着手できずにきた。しかし、体系化には不備であることを承知の上で、まず入手資料の整理・分析を進めつつ、仮説の析出を先行させる必要がある。 2 分析の遅れについて リージョンごとの歴史把握には、リージョン組織と国際組織との関係とともに、リージョン内の各国組織との関係把握が重要であり、それは国際成人教育協議会の役割そのものを体系的に理解するうえで不可欠な情報である。そこで調査において、各国の成人教育運動の動向にも合わせて、関心を寄せて研究してきた。しかし、各リージョン内の各国の動向は変化が多様で、概括するだけでも、必要な情報収集・把握は膨大である。また、本来は各リージョンの歴史を概括したうえで、まず、時代ごとに、横断的に各リージョンの動向を比較し、リージョン組織の発展の違いや意義について、仮説を得る必要がある。しかし、各リージョン組織の歴史を概括することも、段階的にしか進めることができない。 そこで、体系性に不十分な点があることを承知の上で、特定の観点に限定しながら分析を進めていく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
1 各リージョン組織の沿革把握とその課題 (1)その組織の設立経緯に注目して、仮説を立て、裏付ける資料・証言収集につとめる。国際成人教育協議会設立前に結成されているアジア・太平洋成人教育事務所(現 アジア・太平洋成人基礎教育協会(ASPBAE))及びヨーロッパ成人教育協会については、特に、ユネスコ成人教育会議及びそれに先立つ、1920年設立の世界協会とその大会(1929年)との関係も視野に入れて分析する。ラテンアメリカリージョン、アフリカリージョン、アラブリージョンの諸組織については、国際成人教育会議がその設立にどの程度かかわったのか、着目し、情報収集を行う。 (2)各リージョン組織の活動の活性化、あるいは再興の経緯にも注目する。 (3)各リージョンがリージョン内の成人教育運動のネットワーク形成、各国内の成人教育運動の支援・結成に関わってきたかどうか、その事実を確認する。 2 国際成人教育会議自体及び各リージョン組織に関して、蓄積されてきた入手資料・情報の確認・整理を進める。
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Causes of Carryover |
国際会議も含め、インタビュー調査と資料収集の日程調整ができず、旅費を伴う調査を実施できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国際会議も含め、インタビュー及び資料収集のための出張調査を行う。
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Research Products
(2 results)