2016 Fiscal Year Research-status Report
国際成人教育協議会の発展過程におけるリージョン組織との関係に関する研究
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26381101
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
荒井 容子 法政大学, 社会学部, 教授 (70287837)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 成人教育運動 / 国際成人教育協議会 / 成人教育 / 社会教育 / 生涯学習 / 社会運動 / 国際成人教育会議 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究対象であるリージョン組織の一つ、アジア太平洋成人基礎教育協会(ASPBAE)が、4年に一度の総会と関連して開催したRegional Workshopに参加し、加盟団体代表間での議論に参加することで、このリ-ジョン組織が、各国の抱える状況の違いを超え、特に、途上国、先進国を区別する議論が後景に退き、各国が同じ土俵で相互に実質的な議論をできる場へと発展してきていることが分かった。また今回の会長及び理事改選で、若年層の理事を迎えたことをきっかけに、若年層を運動の担い手として積極的に位置づけることが重要事項として共有され、さらに、加盟組織が少ない地域の問題も取り上げられた。これらの課題意識は、20 年前、女性を組織運営の担い手に積極的に位置づける改革が行われ、今の活動の発展の土台がつくられた歴史と関わらせ、組織の発展として注目すべき観点であることが分かった。 ICAEについては、事務局長の交代(2014年)後も、ユネスコ国際成人教育会議のフォロ-、国際的な政策展開における「成人教育」の位置づけ(あり方も含め)強化の取り組み(2015年5月の世界教育フォ-ラムを経て2015年9月の国連で採択された「持続可能な開発目標」に至る)のみならず、担い手を養成するためのセミナ-、世界の社会運動としての世界社会フォ-ラムに対する積極的な関与など、2002年以降の活動の大枠が継続されていることを確認することができた。しかし、世界社会フォ-ラムへの関わりについては、2016年の同フォ-ラムを参与観察することで、リ-ジョン組織によって、その関わり方に濃淡があるのではないかという感触も得た。そこで、ICAEのリ-ジョン組織の分析において、社会運動一般、あるいは世界社会フォ-ラム自体と、成人教育運動との関係という観点から、その組織の方針・活動を検討してみる必要があることも分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
ラテンアメリカ、アフリカ、アラブ各リ-ジョンの組織発展史の概要把握のための資料収集が非常に遅れている。そのため、一定程度の資料収集が進んでいるアジア、ヨーロッパ、北アメリカリ-ジョンも含めた、全リ-ジョンの動向を総体として把握し、比較検討するための横断的な指標を設定することができず、調査が滞ってしまっている。 また、ある程度調査が進んでいるアジア・サウスパシフィックリージョンについても、各国の成人教育に関する発展史との関係の中でその意味を総括的にとらえようとすると、膨大な調査が必要となる。 さらに、各リ-ジョンの組織の発展過程を解明するうえで、すでにその関連を念頭においていたユネスコ関係の会議、とりわけユネスコの教育研究所(旧)、生涯学習研究所の活動の他、英国成人教育機関、ドイツ成人教育協会国際部門など、海外支援を行ってきた国レベルの組織の動向も関連させて調査する必要が分かってきたが、これについてはまだ本格的な調査に着手できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、すでに入手した資料・情報の整理をし、そこからリ-ジョン組織の発展史を描くうえでの不足資料の確認と、入手の戦略を練る。この情報入手戦略を練るためにも、ユネスコの関連研究所、英国成人教育機関、ドイツ成人教育協会国際部門など、リージョン組織を支援してきた諸機関・組織の発展とその支援活動の展開から得られる情報を整理し、リ-ジョン組織及び各リージョン内で主導的役割を果たしてきた国や運動組織についての情報を得る。これらの情報から、ある程度の不正確さを承知の上で、計量的な比較指標とデータ収集の工夫を行う。 この作業を、まず、特に情報収集が進んでいるアジア・サウスパシフィックリ-ジョンの発展史についての素描をしながら、取り組んでいく。 また、国際成人教育会議、国際成人教育協議会(ICAE)による世界大会の各回の参加国情報、国際成人教育協議会による過去の調査なども、リージョン組織の発展と関連させて、その活用を検討する。
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Causes of Carryover |
調査対象に関する資料収集、関係者へのインタビュ-について、日程調整ができず、旅費を伴なう調査を十分おこなえなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
調査の準備を早めに行い、研究対象と関わる国際会議も含め、調査対象に関する資料収集、関係者へのインタビュ-について、日程調整し、旅費を伴なう調査を複数実施する。
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