2015 Fiscal Year Research-status Report
政治主導教育改革のもたらす教育政策の特質に関する日米比較研究
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26381103
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小松 茂久 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (50205506)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 教育政策 / 教育委員会 / 教育長 / takeover |
Outline of Annual Research Achievements |
わが国における教育行政の原理として理解されてきた一般行政からの独立性や政治的中立性の原理を大きく揺らす教育ガバナンス改革が日米両国で同時進行している。 米国ではニューヨーク市やシカゴ市など主要都市において市長による教育統制権の掌握(takeover)が1990年代半ばから進展してきている。これらの動向についてはすでに学会誌で研究成果を公表している。わが国では2014年6月の地方教育行政法の改正に見られるように、教育行政における責任体制の明確化を目的として首長による教育行政への関与が強められた。平成27年度における米国の動向については引き続き都市の教育行政改革の動向に関する文献を渉猟し、資料の読み込みを継続している。わが国の研究については以下の通りである。 首長の教育行政への関与の全国的な傾向性を把握するために中核市の動向について、主に首長の選挙公約と教育行政の実態について資料収集を継続した。同時に、いくつかの都市(長崎市と前橋市における学校選択制度の廃止、豊後高田市の「教育のまちづくり政策」、秋田市での公立美術大学設置、鹿児島県伊佐市の報奨金)における教育行政アクター、すなわち、自治体での教育政策過程において主体的、主導的に関与した首長、議会、教育委員会などにインタビューを試みる中で、各アクターの主導する教育改革や教育施策に着目し、政策過程におけるアクターの活動の意義と問題点について考察を進め、わが国地方教育ガバナンス改革への示唆を得る努力を継続した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
地方教育ガバナンスの実態と課題について、4つほどの研究グループに分かれて研究を進めると共に、共通する研究課題である「首長主導の教育改革」の理論的課題と実態調査の進捗状況について共有する機会を月に1度対面での研究会を継続してきた。その結果、未だ研究成果として公表されていない研究グループもあるが、多くは着実に研究を進めており年内にも成果を公刊できる予定である。 米国の研究については、文献研究だけでなく実態調査研究も実施するための準備を継続しており、首長主導改革として着目されている大規模なチャータースクールへの転換を図っているニューオリンズの動向について文献研究を深めている。
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Strategy for Future Research Activity |
わが国の地方教育行政、特に中核市における首長、議会、教育委員会、市民団体等の教育行政アクターの動向について、特に新規に市費を投入した特色を持つ教育政策についての全国的な動向を把握するために、いっそう掘り下げて資料収集を進めながら文献の検討を進めていく。また、来年度は本研究の最終年度であるので、わが国の研究対象事例都市を拡げることなく、これまでに訪問調査を済ませた都市を中心に再訪問して資料収集と聞き取りを継続し、政策過程の綿密な分析を進めて、地方教育ガバナンスの今日的動向を正確に把握する。そして、米国での文献調査、実態調査の成果を踏まえて、日米の首長の主導する教育政策の特徴と課題について比較検討を行う。
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