2014 Fiscal Year Research-status Report
米国研究大学における将来の大学教員準備プログラム(PFF)に関する実証的研究
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26381104
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Research Institution | Japan Professional School of Education |
Principal Investigator |
吉良 直 日本教育大学院大学, 学校教育研究科, 教授 (80327155)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗田 佳代子 東京大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (50415923)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 若手教育者養成 / 大学教員準備プログラム / ファカルティ・ディベロップメント / ティーチング・ポートフォリオ / アメリカの大学 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度には、過去の科研費研究の成果を基盤として、1990年代からの将来の大学教員準備プログラム(PFF)の成果と課題、並びに昨年新たに始動した全米プログラムの理念と実態の解明を目的として、二回の訪米調査を実施した。 第一回目の訪米では、研究代表者・吉良が、8月末からの約10日間に、①大学院協議会(CGS)、②全米科学財団(NSF)、③コーネル大学を訪問した。特に重要となるのは①と③で、①のCGSは、1993年から2002年の全米プログラム終了から10年たった2012年から、新たに学生の学習評価に焦点化したPFFの全米プログラムを始動させたため、その趣旨と現状、並びに大学の選考基準等について把握するために訪問し、Dr. Deneckeと面談した。③のコーネル大学は、1993年からの最初の全米プログラム、並びに最新のPFFにも参加し、さらにCIRTLのパートナー校となっており、すべてに参加している唯一の大学であるため訪問した。全米プログラムの成果と課題、並びに全米プログラムに参加するメリット等について、Dr. McLinn、Dr. Pettit等から情報を収集した。 第二回目の訪米では、研究代表者・吉良と研究分担者・栗田が、11月初旬にテキサス州ダラス市で開催された北米のFD学会であるPODの第39回年次大会に参加した。参加目的は、FDの文脈の中で大学院生の職能開発の一環と位置づけられるPFFの実態に関する学会発表を聞き主要な発表者と面談し最新情報を収集することで、さらにPOD元会長で本研究の海外研究協力者のDr. Ouellettと本研究について意見交換を行った。栗田は、東大のFFPに関して発表を行った。 研究分担者・栗田は、東大におけるFFPと呼ばれる大学教員準備プログラムの実施とその研究に携わり、さらにアメリカのPFFにおけるTPの活用方法等に関して研究を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、高等教育改革の視点から、教授職を目指すアメリカの研究大学の大学院生を対象とし、多様な形態で実施されてきたPFFの実態と課題を実証的に解明することである。具体的には、本研究では、PFFを全米規模で支援してきた組織や財団の担当者や大学レベルで重要な役割を果たしてきた教職員との面談、並びに様々な文書・文献のレビューを通して、①1990年代からの全米プログラムと主要な大学独自のプログラムの内容・成果・課題、②最新の全米プログラムの実態、③PFFにおけるティーチング・ポートフォリオ(TP)の活用方法や成果を解明することである。そして、本研究の結果に基づき、日本のプレFDの充実に向けての示唆をまとめることも目指している。 研究1年目となった平成26年度の研究実績を通して、その3つの課題の解明に向けて順調に進展している。今年度(平成27年度)を中心にその解明を目指し、平成28年度には研究成果を発表する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度には、研究代表者・吉良と研究分担者・栗田が、6月初旬に開催される大学教育学会で、これまでの研究成果についてラウンド・テーブル、個人研究の形で発表する予定である。 そして研究代表者の吉良は、情報収集と学会参加のため、三回訪米する。第一回目の訪米では、9月中旬に約一週間中西部の大学(インディアナ大学ブルーミントン校、ミシガン州立大学)を訪問する予定である。どちらも最新のナショナルPFFプログラムに参加したため、その実態と課題について情報収集することを目的とする。 第二回目の訪米では、研究代表者・吉良と研究分担者・栗田が、11月初旬にサンフランシスコ市で開催されるPODの第40回年次大会に参加する予定である。参加目的は、PFFに関連する実践に関する発表を通して情報収集すること、そしてPFFの全米プログラムに参加しなかった大学の関係者からその意図を聞くことを中心に様々な情報収集を行う。第三回目の訪問では、カナダのバンクーバーで開催される比較国際教育学会(CIES)に参加し、これまでの研究成果を発表する。 平成28年度には、平成26年度からの2年間の研究の集大成の年として、さらに平成16年度から積み上げてきた研究成果を、様々な形で発表していく予定である。研究代表者・吉良、研究分担者・栗田が、大学教育学会、日本比較教育学会、日本教育学会等の教育学系の全国大会で口頭発表し、さらに学会誌に論文を投稿する予定である。そして、PODの年次大会、CIESの年次大会等の国際学会でも成果を発表する予定である。そして、研究代表者、研究分担者が実施した3年間の研究活動、研究内容に関する成果をまとめた最終報告書を作成することを計画している。
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Causes of Carryover |
平成26年度に研究分担者・栗田に配分した40万円のうち、10万円が27年度に繰り越されることとなった。これは、平成26年度に他の研究費等もあり、30万円の使用に留まったことが主な理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度には、6月初旬に長崎大学で開催される大学教育学会でこれまでの科研費による研究の成果の発表を行うための旅費等に、そしてその他の東大のFFPに関する研究等に使用される予定である。
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Research Products
(8 results)