2016 Fiscal Year Research-status Report
誤解事例を通して保護者―保育者間のコミュニケーション改善をめざす研究
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26381112
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Research Institution | Kyoto Bunkyo Junior College |
Principal Investigator |
張 貞京 京都文教短期大学, 幼児教育学科, 講師 (50551975)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
真下 知子 京都文教短期大学, 幼児教育学科, 講師 (80551978)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 誤解事例 / 保護者 / 保育者 / コミュニケーション / 個別インタビュー |
Outline of Annual Research Achievements |
①2015度に実施した保護者対象の調査結果について分析を行った。 回収数は310件であり、回収率は39.0%であった。回答者は9割が母親であった。誤解された、した体験においては、体験なしが90%前後を占めており、体験ありは誤解された場合が8.7%、誤解した場合が8.4%であった。誤解体験があった子どもの出生順による傾向は、一人目の子どもの時が誤解された体験23名、誤解した体験21名と最も多く、続いて二人目、三人目であった。体験例の記述は、誤解された体験より、誤解した体験の記述が多く、保護者が保育者からの伝達に戸惑っており、保護者視点からも保育者とのコミュニケーションにおいてズレが発生していることがうかがえた。また、子どもの出生順による誤解体験が1人目の子どもの時に多いのは、はじめての子育てに奮闘している保護者と専門職である保育者間にある認識の相違が誤解発生の一因であると考えられた。
②保育者を対象に個別インタビューを実施し、6か園の協力を得ることができ、21名の保育者から誤解体験の事例を聞き取ることが出来た。インタビューは聞き取るのみではなく、インタビューを通して、保育者が体験から自ら学ぶことが出来るように努め、インタビューのプロセスの中で、誤解体験を新たに意味づけしていく姿が見られた。また、2014年度に実施したアンケート調査では分からなかったが、園の方針、保育者の経験、保育者の知識、保育者間の関係、保護者の認識、保護者の置かれた家庭の状況など、多様な要因が誤解発生の要因であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2015年度に予定していた保育者対象の個別インタビュー調査を2016年度に実施した。2015年度は、保護者を対象に実施したアンケート調査を分析し、保育者対象のアンケート調査結果をさらに分析していく必要があった。 また、保育者対象の個別インタビュー調査を実施した時期が年度末に近い12月から3月になった。アンケート調査を行った園を対象に個別インタビュー調査協力の依頼を配付したが、個別インタビューの場合、受けることができないと断られた園もあり、一人当たり1時間以上のインタビューを実施するため、場所や時間の設定が難しく、その調整に時間を要したためである。
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Strategy for Future Research Activity |
①2015年度に実施した保護者対象のアンケート調査結果をさらに分析し、保育者視点での誤解発生要因との比較分析を行う。保育者と保護者の誤解体験事例には、共通する事例があり、多角的に誤解発生要因を明らかにしていく。 ②保育者対象の個別インタビュー調査結果を分析する。アンケート調査では読み取ることが出来なかった園の方針、保育者の経験、保育者の知識、保育者間の関係、保護者の認識、保護者の置かれた家庭の状況など、誤解を発生させる要因について明らかにしていく。また、誤解体験を語った保育者らは、体験からの学びと改善策について具体的に語っている。 ③上記の結果に基づき、保育者を対象に保護者とのコミュニケーション改善をめざす研修プログラムの開発を進める。小グループの研修および事例を通して学ぶ講演会を実施し、その効果を測っていく。
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Causes of Carryover |
・個別インタビュー調査の対象となった21名のうち、19名が対象者の所属園または研究代表者の本務校にて実施しているため、会場費の支出が少なかったためである。対象者の所属園への交通費も少なかった。 ・個別インタビュー調査の音声を起稿した費用も予定より、少なかったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
・次年度は研修プログラムの開発および研修の実施を予定している。小グループによるワークを含め講演会を実施するために、会場費などの支出が見込まれる。初年度の研究から協力を得ている京都府下の各地で研修を実施する予定であり、各地での会場費が必要となる。
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Research Products
(2 results)