2016 Fiscal Year Annual Research Report
Reexamination about solution of absenteeism in postwar period
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26381122
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
加藤 美帆 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (60432027)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 長期欠席 / 不登校 / 戦後教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
1940年代末から1950年代初頭に出された長期欠席調査に関わる調査報告では、長期欠席の原因として人身売買について言及がなされているものが複数ある。戦後の人身売買の実態についての資料をまとめた藤野(2012, 2013)も、当時の人身売買の実態把握のなかで長期欠席が注目されることがあったことに言及をしており、長期欠席調査の実施の背景を探るうえで人身売買の問題化過程を明らかにすることは重要と考えられる。それゆえ、2016年度においては戦後における子どもの人身売買関する資料を収集し、その分析に関する中間報告を日本教育学会大会(2016年8月24日、北海道大学)にて行った。本報告では、1948年12月に新聞で掲載された栃木県における人身売買事件の記事をきっかけに、当時の厚生省、法務庁、労働省といった複数の省庁、そしてGHQが人身売買をめぐって議論を展開していく過程を追った。そのなかでは、子どもの人身売買をめぐってそれをいかにとらえるかについて、相互に対立する見解が提示されていった。子どもの取引に関する問題性が必ずしも共有されているわけではない状況のなかで何が問題なのかについても議論がなされたが、全国紙の紙上においても1949年3月までで子どもの人身売買に関わる記事はほぼ見られなくなる。実質四ヶ月間で急速に問題化と収束がおこっているが、子どもの取引が当時の社会状況、また政治的にどのような意味をもっていたのかは更なる検証が必要であるため、この期間において問題となった現地である栃木県の地方紙「下野新聞」、および取引されていた子どもたちの主な出身地である福島県の「福島民報」でこれらの事象がどのように扱われていたのかについても網羅的な記事収集及びデータベースの作成を行った。
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