2014 Fiscal Year Research-status Report
公共政策大学院の学修成果を指標とする質保証システムの各国間比較に関する実証研究
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26381127
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
早田 幸政 中央大学, 理工学部, 教授 (30360738)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉岡 秀紀 京都府立大学, 公私立大学の部局等, 講師 (10631442)
姜 達雄(渡辺達雄) 金沢大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (20397920)
堀井 祐介 金沢大学, 学内共同利用施設等, 教授 (30304041)
前田 早苗 千葉大学, 学内共同利用施設等, 教授 (40360739)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 公共政策大学院 / 質保証 / 学修成果 / 内部質保証 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、韓国、中国の公共政策大学院における高度公共人材育成教育プログラムの編成・展開の状況及び教育質保証システムについて調査しその検証を行った。その過程で、学修成果がどう発現・産出されているかを如何なる方法で測定・評価しているのか(アウトカム評価の実態把握)、そうした測定・評価を目的とする内部質保証の仕組みがどう構築され運用されているのか、という点にも意を払った。 以上のような調査研究の目的・視点に基づき、中国調査においては、上海交通大学及び同済大学の各公共政策大学院、並びに上海教育評価院の各機関の訪問調査を行った。上海教育評価院の調査では、同機関の管轄下にある大学院プログラムの質を保証するためにどのような営みが展開されているのか、という点に照準を合わせてこれを行った。 一方、韓国調査においては、高麗大学校、成均館大学校の各行政学院、ソウル国立大学行政学院並びに大学教育協議会・大学評価院を対象に訪問訪問を行った。大学教育協議会・大学評価院の調査では、主に専門分野別評価の手法を中心にこれを行った。 これらの訪問調査と並行させて、大学基準協会の公共政策大学院教育質システムに係る状況把握も書面調査を通じて行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究における基本的な到達目標は、あらかじめ設定された「ラーニング・アウトカム」の充足状況の測定・評価を通じ、教育を継続的に改善していくことが今日の高等教育の必須課題となっていることを踏まえ、公共政策分野における高度専門人材養成直結型の公共政策大学院の有効性の方途の究明を目指すことにあった。 本年度は、こうした目的を達成するため、中国、韓国さらにはアジア全域においてトップレベルにあるとみなされている中国・韓国の公共政策大学院の訪問調査を行い、教育目標、人材育成の方針及びそれらを具体化するためのカリキュラム構造について把握することができた。これと併せ、公共政策大学院の教育目標が、有効な評価指標を用い、アウトカム・ベースで測定・評価する手法、そうした手法を恒常的に運用するための内部質保証の仕組みについて、中国、韓国の先進事例を通してそれらを具体的に把握できた。 加えて、大学基準協会がアウトカム評価の実質化を図るために行った改訂公共政策大学院認証評価基準の書面に基づく検証も行うことができた。 なお、上記調査に関連するものとして、中国、韓国における高等教育の評価をつかさどる評価機関を訪問し、大学院評価の特質について把握することもできた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の基本目標、本年度の調査研究の成果を踏まえ、今後は次のようなプロセスを進めることにより、当初目標の達成を目指したい。 平成27年度は、近年、資格と学位を制度的に結び付ける動きを顕在化させているオーストラリアを対象とした現地調査を行い、同国における公共政策大学院の質保証とそこでのアウトカム評価の位置づけについて調査する。具体的には、メルボルン大学行政大学院、モナッシュ大学公共政策・経営研究科並びにオーストラリア高等教育質・基準機構(TEQSA)の訪問調査を予定する。 平成28年度は、学位と職能資格が制度として密接な連動関係があるイギリスの公共政策大学院と上記仕組みを支える機関を対象に調査を行う。具体的には、バーミンガム大学行政学研究科、ロンドン大学政策評価修士プログラム並びに資格・教育課程協会(QCDA)、資格・試験監理機構(Ofqual)の訪問を予定する。 これらと並行させ、大学基準協会の公共政策大学院認証評価基準の改訂動向とその運用実態についても、経常的に書面調査等を通じ把握を行っていく。
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Causes of Carryover |
今年度の訪問調査先は、中国、韓国と比較的経費的に押さえることが可能な国・地域であったことが挙げられる。また、研究代表者の中国訪問に伴う旅費、宿泊費等について、手続の遅れ等に伴いそれが翌年度払いになったことで、今年度の支出額が見かけ上少額になっている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
中国訪問にかかった経費が研究代表者に支給される。ところで、平成27年度はオーストラリアの、平成28年度はイギリスの訪問調査を予定している。両国とも、学位制度に制度的変容がもたらされていることとの関係において、訪問先の数も中国、韓国調査の場合に比して多くなり、このことに伴って、訪問期間も先の調査に比べると若干長めになることが予想される。このように経費が若干かさむ場合、次年度繰越分をこれらの経費に充てることとしたい。
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Research Products
(1 results)