2016 Fiscal Year Annual Research Report
A study of educational environment for newcomer young people
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26381131
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
児島 明 鳥取大学, 地域学部, 准教授 (90366956)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 多文化教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
ブラジル人青年の学び直しをめぐる課題と可能性を探るために継続して調査を実施した。前年度までの調査では対象者が男性に偏る傾向が見られたため、最終年度はジェンダー・バランスを考慮し、日本の学校に通った経験のある12名の在日ブラジル人女性を対象に、学校経験および離学後の経歴についてライフストーリー・インタビューを行い、学びの継続・断絶・再開をもたらす諸要因について検討した。 対象者の年齢は21~31歳で、最終学歴は中卒2名、高卒3名(うち2名はブラジルの高校)、専門学校卒1名、大学在学中2名(うち1名はブラジル通信制大学)、大学中退2名(うち1名はブラジルの大学)、大卒2名であり、中卒の2名は、ブラジル政府が在日ブラジル人を対象に毎年1回実施している初等中等教育修了資格認定試験(ENCCEJA)による高卒資格取得をめざしていた。親の多くはいわゆる出稼ぎ労働に従事しているが、対象者の職業は通訳・翻訳関係5名、英会話講師1名、多文化市民メディア関係1名、旅行関係1名、アパレル関係3名、ブラジル食品関係1名となっており、現段階において工場労働等に従事する者はいなかった。対象者の相対的な言語能力の高さ(大半が日本語とポルトガル語のバイリンガル)を反映した現状と言える。 対象者の多くは、頻繁な地域間移動を余儀なくされ、学業的にも人間関係においても継続性の喪失を切実な問題として経験していた。しかし移動する生活が複数言語の獲得や普遍性を有する技能の習得に結びつき、どこにいても「なんとかやっていける」という実感を生むとき、継続性の喪失の経験は、移動への適応力の獲得過程として語り直され、複数国を同時に見据えた職業志向の基礎となっていた。すなわち、学びをめぐる欠落や喪失の経験に対する対象者の意味づけは可変的なものであり、移行過程における環境次第ではキャリア形成を下支えする資源へと転換しうるのである。
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Research Products
(2 results)