2014 Fiscal Year Research-status Report
教授学習メディアとしての文字言語とノート使用における実証的比較文化的基礎研究
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26381138
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
添田 晴雄 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 准教授 (30244627)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 久佳 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 准教授 (00413287)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ノート / アンサーボード / 文字言語 / 音声言語 |
Outline of Annual Research Achievements |
小学校においてアンサーボード(A3判大の小型ホワイトボード)を使って、児童の話合い活動を活性化させた実践記録を分析し、実践者にインタビューを行った。児童は、アンサーボードを用いることにより、口頭発表の準備として自らの考えを可視化しながらまとめるこができる。また、口頭発表の際にアンサーボードを使うことにより、ポイントを押さえた説明ができるようになる。さらに、時間の関係上等で全員が口頭発表できないような場面でも、アンサーボードを提示することにより、児童は発表行動に準じた満足感を得ることができる。これらの効果により、児童の話し合い活動が活性化されていた。 また、「学級活動ノート」(形態はワークシート)を使った学級活動を実践している教員にインタビューを行った。話合いの柱を記述させた上で、それに対する自分の考えを書かせる。それを踏まえた上で、口頭による話合いをすれば、口頭の発言が苦手な児童も比較的容易に議論に参加することができる。 「学級活動ノート」には、音声言語によるコミュニケーションを前にして、文字による思考の可視化を通して意見をまとめる効果が認められた。また、アンサーボードでは、これに加えて、音声によるコミュニケーションを補足する効果が確認できた。 平成27年度は、学級会において、ばらつき発言を、つなぐ発言、支える発言、深める発言、つくり出す発言、まとめる発言に展開させていくツールとして、黒板やノートがどのように機能しうるかを検討した上で、授業のビデオ撮影による分析に着手する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
数量的な分析指標を開発する前に、学級会活動や教科の学習場面における音声・文字言語コミュニケーションのもつ意味を検討しておく必要があると考え、まず、そこから着手したため。
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Strategy for Future Research Activity |
日本の小学校5年生と中学校2年生の国語と学級会の授業をそれぞれ1クラスずつビデオ撮影し、同時に、それぞれ数名の児童生徒の机上をビデオ撮影する。それらを5秒ごとに分割し、それぞれの5秒区間の中で、児童生徒がノート等に文字言語をどの頻度で記入しているかを分析する記述方法や指標を、上記の手法に改善を加えながら開発する。その際、授業担当者に面談を行い、分析結果の妥当性について討議し、教室における音声言語・文字言語使用についての教育観についての聞き取りを行う。添田は文字言語・音声言語の教育文化的側面から、森は授業方法の立場から改善に寄与する。 さらに、上記の授業で児童生徒によって書かれたノートを分析し、その記述内容が該当授業の学習活動の中でどのような役割を果たしているかを分析することによって、ノートの質的分析指標を開発する。その際、添田は文字言語・音声言語の教育文化的側面から、森は授業方法の立場から、また、主に添田は特別活動の側面から、森は教科指導の側面から考査する。
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Causes of Carryover |
平成26年度は、所属大学近隣の実践例に限定して研究を進めたこと、ビデオ分析等の統計処理的な分析に取りかからなかったことから、謝金とその他の予算執行をしなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ビデオ分析等の統計処理において、謝金やその他の経費として予算執行していく。
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Research Products
(6 results)