2015 Fiscal Year Research-status Report
児童養護施設における幼児期の生活実態把握と支援ネットワーク形成に関する研究
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26381142
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Research Institution | Urawa University |
Principal Investigator |
坪井 瞳 浦和大学, こども学部, 講師 (90438896)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
保坂 亨 千葉大学, 教育学部, 教授 (30173579)
村松 健司 首都大学東京, 人文科学研究科(研究院), 教授 (00457813)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 児童養護施設 / 幼児教育 / 保育 / 就学前の就園率 / 障害児の幼児期 / 教育権保障 |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年度は、全国の児童養護施設に対する質問紙調査(全数調査)とインタビュー調査(抽出調査)を行った。質問紙調査は2015年10月に全国601施設に送付、回答数は195施設(回収率32.4%)であった。インタビュー調査は2016年3~9月にかけ実施中である。抽出の方法は、質問紙においてインタビュー調査への協力を募り、15施設の協力を得られた。2016年5月現在、6施設分を実施した。そこでの主だった結果は以下の4点である。
①児童養護施設の幼児の日中の居場所に関する割合は、幼稚園57%、施設内保育23%、不明10%、認定こども園7%、保育所2%、その他保育施設1%であった。幼稚園・保育所・認定こども園などの就学前教育施設への就園率は、一般家庭の4・5歳児が100%であることと対比すると、児童養護施設の4・5歳児の就園率は87.8%と、約12ポイントも低位にあった②中でも保育所の利用が2%と低位にある理由は、施設側の「自主規制」やそれを指導する所轄の都道府県・児童相談所の指導ゆ えであった。それは児童養護施設が児童福祉施設であり、同じく児童福祉施設である保育所の利用はいわゆる「二重措置」としての捉えがそこにあることが見いだせた。しかし、制度上「二重措置」という文言は存在せず、児童福祉施設を併用することを妨げる制度は見当たらない ③就園先で最も高い幼稚園への就園については、入園先確保の難しさ、ようやく入園できても受け入れの困難、はたまた入園も拒まれるなどの「選抜」ゆえの困難が伺われる ④障害児の割合は約3割と一般に比べ高位にある。幼稚園での選抜の様相からも、就園の難しさが示唆される。障害児の就園先には、特別支援学校幼稚部もあるが各県に2・3校程度と少数であり、また、児童発達支援センターなどの障害児通所施設も、先の保育所と同様児童福祉施設であり、前述の状況との関連が示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2015年度中に質問紙調査を終了し、それらを通じて児童養護施設の全国レベルでの実態把握を行うことができた。それを補完するためのインタビュー調査は、調査対象先の都合もあり、数施設分を2016年度に持ち越しているが、2016年度前期中にすべて終了する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2016年度は最終年度であるため、これまでの調査結果を総括する。その上で、学会発表や論文投稿を行い、年度末には報告書を刊行する予定である。
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Causes of Carryover |
2015年度実施予定であった児童養護施設へのインタビュー調査が、一部の施設の都合により2016年度に持ち越しとなった。そのため、調査にかかわる旅費が2016年度へと繰り越しとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年度前期までにインタビュー調査がすべて終了する予定である。2015年度分の繰り越し分はそれまでに使用する予定である。
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Research Products
(5 results)