2017 Fiscal Year Annual Research Report
Significance of graduation thesis in undergraduate education in Humanities Departments - Quality assurance of social relevance -
Project/Area Number |
26381145
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
篠田 雅人 山口大学, 大学教育機構, 助教(特命) (60601234)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 学 学習院大学, 文学部, 教授 (70135424)
小島 和男 学習院大学, 文学部, 助手 (80383545)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 人文科学系 / 学士課程教育 / 卒業論文 / レリバンス / 質問紙調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
人文科学系学科の教育・学習成果について検証を試みた先行研究により、カリキュラムとしての「卒業論文の重要性」と卒業論文執筆による「学生の成長感」が確認された。そこで、本研究では、人文科学系学士課程教育のカリキュラムの順次性に着目したうえで、その集大成である卒業論文の執筆前後における学生の成長感の規定要因を明らかにするとともに、学士課程教育における教育成果・学習経験と卒業後における社会とのレリバンスを検証することを目的とした。これにより、「大学教育は役に立たない」という言説の中でも特に風当たりの強い人文科学系学士課程教育について、知識・能力の修得という観点から教育成果・学習経験が有効に機能していることを示し、人文科学系学士課程教育の質保証議論に資することを目指したものである。 実社会とのレリバンスが比較的弱いとされている哲学・史学・日本文学系の卒業生を対象とした質問紙調査の結果、「大学時代に身についた知識・能力」には、「高校までの学習習慣」「大学での積極的な学び」「教員の卒論指導」「卒論執筆上の留意点」「課外活動」等が寄与していることが判明した。また、「現在身についている知識・能力」には、「大学時代に身についた知識・能力」が大きく寄与していることが示された。 以上の結果から、高校までの学習習慣が大学教育における学びに寄与し、さらには大学卒業後の社会生活にも繋がっていることが明らかになった。加えて、「人文科学は役に立たない」という言説に対する反証材料になるとともに、「人生を豊かにする」という複数の自由記述に代表されるように、「広義の社会的レリバンス」を担保していることを示したと言える。 なお、当初計画していた在学生を対象とした質問紙調査については、計画を変更して「卒業時調査」として実施したものの、期待するサンプル数を得ることができなかった点が悔やまれる。今後の研究への反省材料としたい。
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