2016 Fiscal Year Annual Research Report
Sociological Research on Lived Work and Reformative Organizing of Work-Support Professionals
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26381151
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
筒井 美紀 法政大学, キャリアデザイン学部, 教授 (70388023)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 就労支援 / 顔の見える労働市場 / 労働の脱道徳化 / 動く企画 / 総評労働運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
job securityの著しい低下にも拘わらず、人びとがjobに依存せねばならない現実に、社会はどう対応しているのか/対応すべきか。2008年以降、科研費はこれで4本目だが、一貫した研究テーマは、これである。 前科研費研究では、大阪府、豊中市、横浜市をフィールドに、多様なアクターが関与する「顔の見える労働市場」について解明した。こうした就労支援ネットワークの特徴は、「労働の脱道徳化」、つまり働くべしという価値観の注入ではなく、労働への敷居を低めたトータルな制度設計とその運用にある、と結論できる。 本科研費研究は、上記の研究では足りなかった、就労支援という仕事の詳細と就労支援者のキャリア形成に焦点化し、以下を明らかにした:(a)就労支援者のなかには、就労困難者に相談や就労訓練を施してマッチングをしているだけではなく、就労支援を切り口に地域の活性化に関与している人びともいる、(b)自治体の委託事業は単年度発注ゆえ、多くの受託組織では事業の様相が毎年異なり、実験的試みの繰り返しとなり不全感を抱いている、(c)就労困難者の福祉・教育ニーズの多くは、事業開始後に顕在化するため、当初の事業仕様書に縛られない運用が必要だが、自治体の形式主義に妨げられることが少なくない、(d)就労支援者は、中長期的なスキル形成とキャリア展望に困難や不安を抱えている。(e)1990年代の大阪の就労支援政策立ち上げに関与したキーパースンらは、1970~80年代の総評労働運動に様々なかたちで深くコミットしていた。 以上を論文化・書籍化するなかで、新たに解明すべき点が浮かび上がってきた。それは、相談や訓練をとおした既存求人へのマッチングという、基本型の事業スキームによる支援に限界を感じた先進的自治体が挑戦している発展型--地場産業と地域社会を活性化し、そこに就労支援を内蔵化すること--についての解明である。
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Research Products
(5 results)