2015 Fiscal Year Research-status Report
学力格差生成の比較社会学的研究―学校外学習時間に焦点づけた香港、上海との比較
Project/Area Number |
26381152
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
垂見 裕子 早稲田大学, 高等研究所, 招聘研究員 (10530769)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 学習時間 / 階層 / 塾 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、社会学的見地から、日本・香港・上海の小中高校生の学校外学習時間に関する量的および質的調査を行うことにより、家庭背景による学校外学習時間の格差、およびその格差生成のメカニズムを明らかにすることを目的とする。家庭における学習と塾における学習両方を「学校外学習」と定義することにより、より国際比較可能なデータを構築するとともに、家庭での学習も通塾も行っていない二重に不利な層(学ぶかまえを習得していない生徒)に焦点を当てる。 本年度は、家庭での学習時間を「学習習慣」の指標として捉え、家庭での学習と塾での学習の関連を、量的調査により検討した。JELS 2009年日本、香港、上海の都市部のデータを用いて、マルチレベルSEMを応用した分析から、以下の知見を得た。第一に、日本では家庭での学習時間の階層差が存在し、上海と比べその程度が大きい。日本同様に学歴社会で、学校外教育投資が日本より早期に始まる香港だが、家庭での学習時間に階層差は見られない。第二に、日本特有のメカニズムとして、家庭での学習時間に対する階層効果の大部分が通塾に媒介される。第三に、通塾が家庭での学習時間に及ぼす効果は一部、子どもの学習に対する態度に媒介される。一方、上海・香港においては、子どもの学習に対する態度は、家庭の経済的・文化的資本や通塾の影響を全く受けない。 今後は、日本特有の家庭での学習習慣の階層差および階層化メカニズムの背景として、学校教育と学校外教育の関係性、教育や学習に対する社会の規範に焦点を当てて、日本、香港、上海の差異を明らかにしたいと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は量的調査の分析を行った。国際比較可能なデータを構築し、日本、香港、上海の比較分析を用いた論文を執筆した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、香港・上海の共同研究者の協力を元に、学校教育と学校外教育の関連性、教育や学習に対する規範について、質的調査を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
本年度はJELS2009のデータ分析に専念し、新たなデータコレクションを次年度にしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
海外の研究協力者の協力を得て、香港・上海を訪問し、インタビュー調査を行う予定である。
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Research Products
(2 results)