2014 Fiscal Year Research-status Report
中学校数学科における証明をよむことについての学習指導法の開発
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26381191
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
茅野 公穗 信州大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (20400658)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 学校数学 / 証明 / 学習指導法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,中学校数学科において証明をよむことについての学習指導法の開発に関して,以下の2点について成果を得た。 ●証明をよむことについての学習指導法を開発するための原理・原則(暫定版)の設定 証明をよむ際に,証明を構成しているパーツを対象に証明をよむことと,それを構成しようとする過程を対象に証明をよむこととを区別することの必要性を吟味するとともに,それぞれについて先行研究を基に証明をよむ対象を明確にした。結果,単元における学習指導において,まず,証明を構成しているパーツを対象に証明をよむことを,次いで,構成しようとする過程を対象に証明をよむことを位置付けることとした。教師と生徒,また生徒間で,目指す証明を共有するためである。この原理・原則は,証明の妥当性を吟味することを単元の最初から位置付けるとともに,単元の途中からは証明に基づいて発展的に考えることを位置付けることとと整合的である。そこで,各単元においては,生徒が構成した素朴な証明を対象に,一斉授業の形態で不十分な点を指摘し,修正する活動を単元の初期に位置付けるようにした。また,どのような観点から不十分と判断しているのかを顕在化できるように,観点を明示するように位置付けた。 ●証明をよむことについての学習指導法(暫定版)の試作 中学校第1学年において,基本の作図に絡めて,単元全体の学習指導案と各授業の学習指導の重点をまとめた単元の学習指導の骨子を暫定版として作成した。また,同じ領域「図形」での他学年,あるいは別領域「数と式」での学習指導法への援用可能性について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
証明をよむことについての学習指導法を開発するための原理・原則(暫定版)を設定するとともに,それら原理・原則に基づき,中学校第1学年の「基本の作図」に関して単元全体に渡る学習指導案等が暫定版として試作されるとともに,他学年・他領域での学習指導法への援用可能性の吟味を通して他学年・他領域での学習指導法のラフスケッチが得られているため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,中学校数学科の2領域「数と式」「図形」での学習指導法(暫定版)の開発を行う。また,これらの学習指導法に基づき授業を実施し,ビデオ記録や記述物の複写等によるデータ収集,これらデータの質的な分析を通して,意図した活動を実現するための学習指導法の改善点を特定する。さらに,適宜,学習指導法を開発するための原理・原則を修正する。
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Causes of Carryover |
国際学会への参加を通しての研究情報の収集が,校務との日程があわず断念したため,当該助成金が生じることとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
日本の学習環境等に特化した情報収集を充実するために,国内学会への参加旅費に使用する。その際,授業を実施していただく研究協力者の教諭を含めて,対面による意見交換・情報収集を行う予定である。
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