2014 Fiscal Year Research-status Report
学校環境の異なる国語科教師同士が相互主体的に教科内容観を編み直す学習過程の解明
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26381204
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
丸山 範高 和歌山大学, 教育学部, 教授 (50412325)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 国語科教師 / ナラティヴ・アプローチ / 教科内容 / 教師の学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究全体の目的は、都市部・山間部・離島など、地域環境の異なる高校に勤務する国語科教師同士が互いに実践を交流し相互主体的に教科内容観を変容させていく教師としての学習過程の解明にあるが、本年度は、山間部や離島にある高校で勤務する複数の国語科教師を対象に、授業観察と半構造的インタビュー調査を重点的に行った。 調査により得られたインタビュー・データはすべて文字化し、実践の文脈をふまえながら読み込み、意味のまとまりごとに区分けし概念化するというカテゴリー分析を行った。 その結果、いずれの教師も学習者が抱える課題を起点に教科内容を編み出し、その教科内容の定着を目指して授業を構成しているという共通点が浮き彫りとなった。山間部や離島にある高校で学ぶ学習者の多くは、自己を取り巻く世界を小さく措定してしまい、その自己世界を相対化しようとする学習者は少ない。また、教材文に表現された世界を自身とは関わりのない遠い世界のものごととして扱い、主体的に読み込むことができていないという課題もある。そうした課題状況にあって、国語科教師たちは、教材文のことばにリアリティを持たせる、教材文のことば相互の論理性を把握させる、などの手立てを講じながら授業を展開し、学習者たちが教材世界に対して主体的に関わり、狭い自己世界の相対化が促されるような単元構成を試みているのである。 なお、これら研究成果の一部は、第128回全国大学国語教育学会・兵庫大会(姫路商工会議所・兵庫県姫路市)にて発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の計画は、地域的特徴の異なる高校に勤務する複数の国語科教師を対象とし、授業観察とインタビュー調査を行い、それぞれの教師の実践的特徴を把握することであった。上半期のうちに、研究協力者を選定し調査日の調整を行い順次調査を遂行することができた。その結果、下半期には、データを分析・解釈することができ、その成果を学会発表へとつなぐことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本年度に調査ができなかった都市部の高校に勤務する国語科教師を対象とした調査を早急に行い、できるだけ多様な事例を収集できるよう努める。その上で、それぞれの教師の実践の特徴を取りまとめ、互いの実践を交流し、互いに自身の実践を省察する機会を設ける。そうすることで、それぞれの教師が、自らの実践の固有性に気づくとともに、自らの実践を相対化できるように導き、国語科教科内容観の変容を伴う教師としての学習が進展するように導く。
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Causes of Carryover |
予定していた研究調査のすべてを行うことができなかったため。本研究調査は、同時期にまとめて行うものではない。1事例ずつ丁寧な調査を行い、結果をある程度分析しながら、続く別の事例調査を行うため、調査期間にかなりの時間を要する。また、調査協力者が現職教員であることから、学校行事などとの兼ね合いから、調査日時の調整が難航することもあった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、本年度に調査できなかった事例調査を年度当初に行う。その上で、次年度計画として予定している、同じ研究協力者を対象とした継続調査を実施する。
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