2015 Fiscal Year Research-status Report
教科や科目の分化と統合を視点とする小・中・高を通した社会系教育カリキュラムの研究
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26381207
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山田 秀和 岡山大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (50400122)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 社会科 / 分化と統合 / カリキュラム / 授業構成 / 小・中・高 / アメリカ / リテラシー |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の取り組みは以下の通りである。 1.資料収集。二年目にあたる本年度は,初年度に引き続きアメリカで出版されている理論的・実践的な文献の収集につとめた。特に,リテラシー教育と社会科の関係を探るために,コモン・コア・ステート・スタンダードに関連した文献や情報を集中的に集めた。また,日本におけるリテラシー教育や「言語活動の充実」に関連した文献も集めた。 2.収集した文献に基づく個別分析。本年度は,「教科レベルの統合」の形態に焦点をあて,主に三つの点から分析を進めた。第一は,日本におけるリテラシー教育と社会科の統合についてである。ここでは,「言語活動の充実」に対する社会科の取り組み方を類型的に整理した。その結果,社会科と国語科の合科的な学びを強調した統合パターンと,社会科の教科特有の学びを強調した統合パターンを導き出すことができた。第二は,アメリカにおけるリテラシー教育と社会科の統合についてである。アメリカの動向を探り,リテラシー教育と社会科の統合方法を次の三つに類型化した。一つめは,双方を内容面で関連づけ,統合をはかるもの。二つめは,双方を方法面で関連づけ,統合をはかるもの。三つめは,双方を目標面で関連づけ,統合をはかるもの。それぞれの具体的な事例をもとに,その統合の方法論について分析を進めた。第三は,社会科の教育内容を基盤にした統合カリキュラムについてである。これは,社会科的な題材を用いた総合学習ともいうべき性格をもつカリキュラムであり,教科レベルの統合が進んだ社会系教育の一つの形態を具体化するものと位置づけることができる。ここでは,アメリカの事例の分析を通して,その意義と課題を明確にした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は「教科レベルの統合」に焦点をあてて,社会系の教育として存立しうるカリキュラムや授業の形態を探った。成果としては,リテラシー教育と社会科の統合について日本とアメリカの事例を考察できたこと,社会科の教育内容を基盤にした統合カリキュラムについてアメリカの事例をもとに検討することができたこと,が挙げられる。当初の計画段階では「科目レベルの統合」の分析までを視野に入れていたが,本年度は,現代的な関心が高く事例も豊富な「教科レベルの統合」の分析に重点を置くことにして研究を進めた。「教科レベルの統合」に関して事例分析を進めることができたので,おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
以下のように進める予定である。 第一に,「教科レベルの統合」についての事例分析を重ねるとともに,それをもとにして体系的な整理・検討を行う。第二に,地理や歴史などの「科目レベルの統合」や「科目レベルの分化」の形態について分析を行う。なお,これらについても事例分析を先行させ,その後に体系化をめざすことにする。第三に,これまでの成果をもとにして小・中・高の段階性について検討し,学校・学年段階に応じたカリキュラムの組織・配列のしかたを考察する。
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Causes of Carryover |
当初の計画段階ではアメリカ調査を2回行う予定であったが,国内の学会や研究会等で資料や情報を収集することや,文献に基づく分析・検討を行うことを優先し,渡米を1回に変更した。次年度も継続的かつ集中的に資料や情報の収集を行う必要があるため,本年度の助成金の一部を次年度へと繰り越すように計画を修正した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
引き続き情報や資料を収集するとともに,分析対象となる理論書や授業事例集等の購入にあてる予定である。
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