2014 Fiscal Year Research-status Report
言語運用能力の基盤形成を支援する新聞教育に関する研究
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26381230
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Research Institution | Japan Women's College of Physical Education |
Principal Investigator |
稲井 達也 日本女子体育大学, 体育学部, 教授 (30637327)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 言語運用能力 / キー・コンピテンシー / 21世紀型能力 / 汎用的能力(ジェネリック・スキル) / 批判的思考力 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.言語運用能力について 本研究では、文化庁が示した言語運用能力に関する定義「音声言語・文字言語を問わず,相手や目的・場面に応じて自らの意思を言語によって適切に表現・伝達し,かつ言語を通して相手の意思を的確に理解し得る能力のことであり、端的には、聞くこと,話すこと,読むこと,書くことのすべてにわたって総合的に運用する能力」を踏まえて進めることとした。ただし、言語運用能力に関する先行研究が殆どないため、その位置付けを一層明確にするため、国語科教育の領域以外に広げて調査を行った。特に一般社会において必要とされる言語運用能力について明らかにするため、一般書を中心に調査したところ、実用的な内容を多く含んでいた。言語運用能力は今後の国語科の方向性として、汎用的能力(ジェネリック・スキル)として具体化されていくものと考えられる。 2.国内の新聞教育に関する研究 NIEはこれまで多くの実践が積み重ねられてきたが、評価に関する研究は殆ど行われていない。実践したいという小中高の教員は少なくないが、どのように評価していくかは新たな参入者の懸念の一つになっている。指導と評価の一体化がいわれている。中高の国語科における新聞活用の際の評価について評価規準を新たに作成し、新聞活用における評価の方向性についての考察を行った。 3.海外の新聞教育の実情に関する現地調査 アメリカ合衆国のワシントン・ポスト紙とボストン・グローバル者をそれぞれ視察し、NIE担当者からアメリカのNIEの実情と教育内容について説明を受けた。アメリカのNIEは言語に焦点を当て、批判的思考力を養う性格が強いことが判明した。ボストン市では、市内の公立高校と公立中学校におけるNIEの授業を視察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に計画していた内容が概ね順調に実施できたことによる。言語運用能力の研究を進めるに当たり、新聞活用の論文の他、新聞活用に関連する領域である学校図書館の探究的な学習、及び読書活動の推進に関してもそれぞれ著書としてまとめることができた。また、論理的な作文に関すても雑誌論文として整理し、まとめることができたことにもよる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に示したように、イギリスのメディア教育、フランスの読書指導、ドイツの言語教育について調査を実施する。昨年度は中高NIEの評価規準について思案を論文としてまとめあげることができたので、今後は指導内容・方法について検討する必要がある。
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Causes of Carryover |
・研究を推進するために設置した高校国語教育実践研究会の実施会場として、当初は有料の民間等の会議室を使用する予定だったが、都立高校を無料で借りることができたので、会議室使用料が発生しなかったため。 ・ワシントンとボストンへの視察での往復航空券代金が計画段階の試算より安かったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
・ノルウエー、フィンランド等、北欧における新聞教育(NIE)の事情の視察に充てる計画である。
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