2016 Fiscal Year Annual Research Report
Theoritical and empirical research regarding serious consideration on students' social values and fostering of studens' abilities on mathematics
Project/Area Number |
26381231
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Research Institution | Nippon Sport Science University |
Principal Investigator |
島田 功 日本体育大学, 児童スポーツ教育学部, 教授 (30709671)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 卓也 広島大学, 国際協力研究科, 教授 (00335720)
飯田 慎司 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (20184351)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 社会的価値観 / 社会的オープンエンドな問題 / 数学的モデル / 価値観の特性 / 算数教育 / 価値観が表出する問題の特性 / 育成できる力 |
Outline of Annual Research Achievements |
3年目の研究であり、理論的研究と実証的研究を行った。そして、3年間の研究を振り返って研究の成果を研究成果報告書としてまとめた。 (1)理論的研究 価値観研究としてアーネストの考える価値観を研究した。国立教育政策研究所名誉所員の長崎栄三先生に「数学教育に於ける」価値に関わる多様な言説ーアーネスト『数学教育の哲学』より-」の講演をしていただき、それを基にしてアーネストの考える価値観を研究した。 (2)実証的研究 中学校例として、第2学年「社会的価値観の問題づくり」「ランチ・コンクール」、小学校例として、第1学年「お別れ会問題」第4学年「図書館に入れたい本は?」「インターネットオークション」第6学年「スキージャンプの問題」第3学年「サッカーリーグ」「的あて問題」「ケーキ分割問題」第5学年「部屋割り問題」などが取り上げられた。いずれの問題も本科研で研究を進めてきた社会的オープンエンドな問題になる。どの問題も子どもの多様な社会的価値観と数学的モデルが表出している。例えば、中学校の例で言うと、「ランチ・コンクール」で表出した社会的価値観は、①公平・公正・平等、②思いやり、③みんながんばったなどが挙げられている。また、その社会的価値観に応じて数学的モデルが構成されている。また、話し合いの時間により、社会的価値観と数学的モデルの変容が見られた。社会的価値観の変容が見られた生徒は54%であり、数学的モデルの変容が見られた生徒は86%であった。小学校の例では、「的あて問題」で表出した社会的価値観は、①平等・公平②1年生への思いやりであった。それに応じた数学的モデルが構成された。 以上の結果から、日常の問題には多様な社会的価値観が表出し、それに応じて多様な数学的モデルが表出することが分かった。こうした力を育成することは、現在の算数教育では余り見られないが、今後の社会では重要になってくると思われる。
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