2014 Fiscal Year Research-status Report
体系的な対外認識育成をはかる外国史教育方法論に関する日独比較研究
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26381232
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
佐藤 公 明治学院大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (90323229)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 教育学 / 教科教育学 / 社会科教育 / 歴史教育 / 外国史 / 歴史地図 / 時間認識 / 空間認識 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、21世紀を迎えグローバル化が一層進展する現代社会の要請に応える社会科教育創造をめざし、体系的な対外認識育成をはかる外国史教育方法論のあり方について、実践活動の計画・実践・評価・改善のサイクルを通じて実証的に明らかにする研究である。 平成26年度は、2つの課題に着手し研究を進めた。第一に、「歴史地図」活用の用件とその可能性について検討するため、時間認識と空間認識を統一的に把握するための史資料選択および活動に関して調査分析を行った。第二に、ドイツ歴史教育および地理教育における「歴史地図」の教材としての使用方法に関して、指導案等教育実践を支える資料の収集、検討を進めた。以上の課題に関して得られた実績は、以下のとおりである。 1.「歴史地図」活用に向けた史資料とその扱いは、ワイヤレス環境とタブレットPCの普及に支えられて、教材となる史資料のマルチメディア化およびデジタル化が確実に進行している。その一方で、パズルやカードといった教材を用いて具体的な身体活動を促す、いわゆる「ハンズオン教材」の増加もまた、歴史学習内容と学習スキルの習得とその定着に積極的に活用されている現状を確認した。 2.外国史教育のための実践を支える歴史教授法については、歴史教育実践を支える教科書とその教師用指導書(Lehrerband)、および、日本の学習指導案やそこに示される教育学の基本用語に相当する、ドイツにおける歴史教授法に関する基本的な事項を解説した資料の収集を行った。歴史および地理教科書及び歴史教授法に関する雑誌等学術刊行物を通じて、教育実践に関する学術用語とその原理的な意味内容について、例示された具体的学習内容とその活動計画とをあわせ確認と検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度には、ドイツにおける歴史教育実践を説明する資料自体の収集と整理は進められた。しかし、それらを現地での歴史教育実践事例に位置づけた具体的な考察と、教育実践記録の収集に向けた現地との連絡・調整については十分に進められなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、平成26年度の研究達成度を踏まえつつ、ドイツの教育実践記録の収集に向けた現地との調整を優先して進める。その上で、日本の対外認識育成に関連する教材や、実施計画および評価に関して基礎的研究を進める。具体的には、以下の3つの課題に取り組む。 第一に、日本における「歴史地図」の教材性について、「時間認識」「空間認識」の観点から考察する。具体的には、ドイツとの対比にもとづきつつ、日本の歴史教育及び地理教育における「歴史地図」の活用方法について検討する。その際、授業実践記録や指導案等実践を支える資料と、それらにもとづく授業場面の蓄積収集、検討を進める。 第二に、日本での外国史教育における通史的「歴史地図」活用の計画・実践・評価について、歴史認識と空間認識とを統一的に扱う学習教材としての「歴史地図」を、時代区分及び地域性の観点から選択・排列し、対外認識を外国史全体を通して体系的に育成するものとして構築する。 第三に、最終的な課題である時間的・空間的認識の統一的把握に資する、対外認識育成をはかる外国史教育方法論の体系的な構築を目指し、日本の学校教育および社会科教育における活用を前提として、学習指導要領や学校段階、単位数等、実践上必要とされる配慮や工夫、調整が必要な事項を抽出する。
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Causes of Carryover |
平成26年度は、ドイツでの調査実施計画に関する連絡・調整作業に遅れが生じ、想定した謝金および通信費等の支出が発生しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は、平成26年度に実施予定だったドイツでの調査を行うコーディネーターとの調整・調整を確実に進め、調査活動に必要とされる謝金および通信費等の費用について、適切かつ効果的に執行する。
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