2016 Fiscal Year Annual Research Report
Consideration of a school curriculum on sex education incorporating information on the measures to be taken against sexual crimes and the provision of emergency contraception for preventing abortions
Project/Area Number |
26381256
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
笠井 直美 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (20255243)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 性教育 / 学校 / 緊急避妊薬情報 / 人工妊娠中絶防止 / 性犯罪被害対策 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本で 2011 年に緊急避妊薬が承認され、警察庁では 2006 年度から犯罪被害者への医療支援として緊急避妊などの公費負担を開始している。性的暴力の加害者は交際相手や職場、友人・知人など顔見知りであることが多く、警察に通報しない現状がある。近年、携帯電話やインターネットなどの通信手段を通じて若者が性犯罪に巻き込まれるケースがあるため、若者に対しても望まない妊娠を防ぐために緊急避妊薬の周知が必要である。しかし学校における性に関わる教育において、 緊急避妊薬の情報提供のみではなく生命倫理を含めた指導は皆無に近い。学校における性に関わる教育への意識を高め、向上するための方策の早急なる検討の必要がある。また20 歳代以下の若年者の人工妊娠中絶者数は依然として多く大変危惧すべきである。文部科学省より2012(平成25)年から実施されている新学習指導要領の中では、「性教育」の記載はなく、中学校の学習指導要領保健体育のなかに位置づけられている性教育に関する記述では、コンドームの使用方法は取り扱っていない。そのため、中学校での「緊急避妊法」の周知は難しい状況である。本研究による授業では高校生に対し、緊急避妊薬の「72時間以内に内服しなければ効果がないこと」「日本では病院で処方となること」「副作用があること」の3点を教えた。男女ともに授業直後は有意に正答率が上昇したが、4か月後には5割程の正答率になった。結論として、1.緊急避妊薬に関する情報を与える際には正しい情報の入手方法を教える必要がある。2.緊急避妊薬の入手方法や服用期間は実例をあげて説明する。3.自分自身のことのようにイメージできる教材の検討が必要であることが明らかとなった。「緊急避妊薬の学習をする時期」では、中学1年生および2年生で知るべきという回答が多かったことから、学校教育内容と生徒のニーズに齟齬が生じていることが分かった。
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Research Products
(6 results)