2015 Fiscal Year Research-status Report
風土知に基づく持続発展教育カリキュラムの構成原理とパフォーマンス評価の研究
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26381264
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
岸本 実 滋賀大学, 教育学部, 教授 (80249705)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 環境教育 / エコスクール / ESD |
Outline of Annual Research Achievements |
台湾の環境教育について,特に①環境教育人員認証,及び②緑色学校の2点に注目して,調査研究を行った。①環境教育人員認証については,環境教育に関わる教師や環境行政に関わる職員が,一定のプログラムを受講して,資格認証を行う制度である。プログラムを提供する機関も大学や教育研究センターなど一定の認証を受けた機関が提供するものである。滋賀大学も環境学習支援士という認証プログラムを実施していた。また滋賀県総合教育センターも環境教育の研修プログラムを持っている。また,滋賀県は環境熱心県として環境教育主任を校務分掌としておくこととなっている。しかしながら,環境教育主任が例えば大学やセンターにおいて一定のプログラムを受講し資格を認証されたものとするような形でリンクさせることができれば,より有効なものと発展させる可能性があると考えられる。 ②緑色学校は,環境に配慮した教育活動を計画実施し,申請すると,その内容に応じてグリーンリーフが与えられるという制度である。各学校のグリーンリーフの獲得状況や教育活動報告書はウェブ上で公開されている。そのことにより次のような意義がある制度と評価することができる。第一に,台湾のすべての学校が容易に参加できること,第二に,他校の教育活動報告書の事例から学ぶことにより,教育活動の相互交流を行う条件を提供していること,第三に家族や地域にも公開されることにより地域との連携の幅を広げる可能性があることである。ただし,実際に質の高い環境教育実践が展開され,正確に報告が申請され,適正な評価を得ている場合だけでなく,実は優れた実践を行っているにもかかわらず報告を怠っていたり,逆に,実際以上に報告ではうまく表現されていたりという危惧もある。実際に訪問調査を行って認証を行うエコスクール制度に比較すると,この点は検討事項であろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
台湾の現地調査を2度行い,さらに次年度の調査計画も準備している。特に台湾の新北市に注目し,小学校,中学校,高校について調査することにより,長期的なルーブリックの検討に着手することが可能となっている。この点は進んでいるが,教材・授業の開発では,小学校と高校に比べて中学校の取組については若干の課題もある。以上のように,計画以上に進捗している部分と,計画通りおよびやや課題があるところを含みつつ進捗していることより,おおむね順調という評価をした。
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Strategy for Future Research Activity |
台湾の新北市の緑色学校に位置づけられた環境教育実践を,より具体的なレベルで実証的に検証し,子どもの学びの質と学びの成果のパフォーマンス評価の可能性を検討していく。また,滋賀県における中学校の教材開発・授業研究を進め,これまで継続してきた小学校および高校での実践とつなげていくことにより,長期的ルーブリックについてのモデル開発を進める。
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Causes of Carryover |
海外調査について,研究代表者の本務との関係で比較的長期の調査が困難となり,短期の調査を複数回行う形で計画を遂行している。4~6月が学年の最終期間であり,そこでの調査がすぐに必要でもあるため,その調査のための費用を残した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
海外の学校の学期末にあたる4~6月期においての海外調査の費用の一部にあてて執行する。
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Research Products
(1 results)