2015 Fiscal Year Research-status Report
緻密さと忍耐強さを養う技術科教育のためのマイクロメカニズム教材の開発
Project/Area Number |
26381269
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
森岡 弘 山口大学, 教育学部, 教授 (00249848)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 教材開発 / マイクロメカニズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度に引き続き機構モデルおよび小型ロボットの設計製作を行い、教材を紹介するために導入した3DCADを搭載したノートPCにより附属中学校にて研修会を実施した。 1.小型ロボットおよび機構モデルの開発: 本研究で対象としているマイクロメカニズムの利点は小型で軽量であるため、持ち運びが容易な点にある。本年度は、(社)精密工学会が主催する国際マイクロメカニズムコンテストへの参加を想定した小型ロボットを開発した。また、代表的な機構モデルである、てこクランク機構をアクリル素材により製作した。教材を紹介するための3DCADを搭載したノートPC(H27年度購入)とマイクロメカニズム教材を附属中学校等に持ち込み、教材の紹介や製作実践の研修会を実施した。
2.マイクロメカニズムの研修会の実施: 附属中学校の教員と連携して、附属中学校周辺の公立中学校教員のためのマイクロメカニズム教材の研修会を開催した。その中で、教員のスキルアップのための教材としてだけでなく、実際の教育現場での教材としての導入の可能性を検討した。小型ロボットについては、最先端の技術を利用して製作されていることを紹介するための視覚教材や、技術に関する興味関心を引き出す導入教材として利用することを検討した。また機構モデルについては、中学校技術科の学習指導要領で必修化されたエネルギー変換に関する動力伝達の仕組みや、その製作品の設計・製作の学習教材として、実際に中学校の技術科の授業に導入することを検討している。マイクロメカニズムの設計・製作には、緻密さと忍耐強さを養う効果があることを本年度に引き続き来年度も検証していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、昨年度導入した3D加工機を使用して、小型ロボットおよび機構モデルを製作することができた。小型ロボットは精密工学会が主催する国際マイクロメカニズムコンテストの無線相撲部門へ参加した。無線操作型の相撲マイクロメカニズムのコンテストへの参加規定は、大きさ20×20×30mm以内、重さ45g以下の手のひらに乗るサイズである。 開発した無線操作型の小型ロボットは中学校の技術科の授業において緻密さと忍耐強さのものづくりにおける重要性を生徒に理解してもらうための導入教材として,また生徒を指導する教師に対するスキルアッププログラムの一部として利用できる。 教材を紹介するための3DCADを搭載したノートPC(H27年度購入)とマイクロメカニズム教材を附属中学校等に持ち込み、附属中学校の教員と連携して、附属中学校周辺の公立中学校教員のためのマイクロメカニズム教材の研修会を実施した。さらに、中学校技術科の教員に対する山口県教育委員会免許法認定講習の機械工学の実習教材として、本研究で開発したマイクロメカニズム教材を利用した。講習会の受講者から本教材が緻密さと忍耐強さを養う教材として有効であることを確認することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度実施した研修会の意見をフィードバックして、小型ロボットや機構モデルの改良を実施する。その後、再度、附属中学校に出向き、附属中学校の教員と連携して、附属中学校周辺の中学校教員のためのマイクロメカニズムの研修会を実施する。 (1)機構モデル:開発中の機構モデルを更に小型化し、素材としてアクリルを使用することによって、モデルの可視化をはかる。また中学校技術科の学習指導要領で必修化されたエネルギー変換に関する動力伝達の仕組みを理解するために教材として、より使いやすいものに改良していく。さらに、学習指導要領で必修化された計測と制御の学習内容と関連づけることを検討していく予定である。具体的には、マイコンとして最近教育現場で導入されつつあるArduinoを使用して、リンク機構の動作(揺動角度)を計測してモニタリングすることや、学習者が操作つまみを回すことによって回転速度が制御できるようにすることなどを検討する。
(2)小型ロボット:マイクロメカニズムの大会に小型ロボットを参加させた経験から、マイクロメカニズムの性能を向上させるには、より緻密な設計と製作能力が必要であることがわかった。特に駆動部のエネルギー損出をいかに低減させるかが駆動力を向上させる ためには重要となる。本研究で導入した3D加工機と3DCADを有効に使用すると、より緻密な設計と製作が可能になると思われることから、今後は小型ロボットの動作性能の向上に取り組む予定である。
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