2016 Fiscal Year Research-status Report
「伝統と文化」教育に関する教師教育カリキュラムの開発
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26381291
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
中村 哲 関西学院大学, 教育学部, 教授 (40091813)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 伝統文化教育 / 教師教育 / カリキュラム / 授業実践 / 日本文化 / グローバル化 / 教材開発 / データベース |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、現代社会における教育の課題と今後の教育改革の展望を視野に「伝統と文化」教育に関する指導能力形成を図る教師教育カリキュラムの開発にある。平成28年度は第1期の「教師教育関連リソース収集と実態調査及びデータベース開発」を継続させながら、第2期の「研究理論解明」と第3期の「研究理論活用」の期間になる。しかしながら、これらの研究活動は並行に推進せざる得ない状況である。実態調査としては、これまでの協力地域である東広島市、広島県熊野町、秋田県由利本荘市、篠山市での伝統文化に関するカリキュラムと授業実践の資料収集がなされた。また、教材開発としては「鯉のぼり」「折り紙」「茶道」「武道」「凧」などを取り扱い、これらの教材の中から「鯉のぼり」教材の資料収集と教材内容研究のためにドイツのマールバッハ地域とフランスのパリ地域の海外調査を実施した。 このような実態調査と教材開発を踏まえて、関学共通教育センターの「総合コース」の授業科目として「グローバル世界に発信する日本文化教材の意義と活用」のカリキュラム案を編成した。そして、この授業科目は平成29年度から実施することになっている。また、教育学部の専門科目として平成20年度から実施してきている「日本文化と教育」のカリキュラムにも本研究で開発した教材を活用したカリキュラムに編成をしたのである。さらに、このような研究活動の理論的意味づけと授業実践のモデル事例を示すために「文化を基軸とする社会系教育の構築」という編著を刊行し、伝統文化教育とも関連する授業として、「文化価値理解」の形態、「文化価値形成」の形態、「文化価値創造」の形態に類型し、小学校、中学校、高等学校の学校段階の各形態のモデル授業案を提案している。今後は、これらの教材を活用する「伝統と文化」教育に関するカリキュラムの開発と教師教育としての活用の意義等を検討する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の研究では、科学研究費による海外における日本文化教育の教材とカリキュラムの調査を意図していた。しかし、その海外調査が充分に対応できなかった課題もあるが、伝統文化教育に関する教材開発とそれらの教材活用を図る大学におけるカリキュラム案の編成まで進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究方向としては、平成29年度が最終の研究年度になるので、次のことが課題になる。 ・これまでに開発し、大学において授業実践をしてきた教材を活用して教師教育カリキュラムの開発案を提示すること。 ・これらのカリキュラム案に基づく開発教材の授業実践を評価すること。 ・国内の「伝統と文化」に関する教師教育のカリキュラムと授業実践の活用だけでなく海外での活用を図ること。
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Causes of Carryover |
平成28年度の支出額が予算額より少なくなった理由は、3月に予定をしていた訪米の調査計画が実施できなくなったことにある。訪問予定先としてスタンフォード大学、コロンビア大学、ハーバード大学、インディアナ大学と日程調整をおこなったのであるが、4大学の調整が難しかったこと、研究者が4月に転勤することになり、訪米の調査を中止したのである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度には訪米計画を実施することにより、予算の使用をする予定である。
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