2014 Fiscal Year Research-status Report
今日的な課題に対応した諸教育の成果を取り入れた公民教育カリキュラム開発の研究
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26381301
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Research Institution | National Institute for Educational Policy Research |
Principal Investigator |
樋口 雅夫 国立教育政策研究所, 教育課程研究センター研究開発部, 教育課程調査官 (70510189)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 公民教育 / 法教育 / 金融経済教育 / 消費者教育 / 社会保障教育 / 租税教育 / 主権者教育 / クロスカリキュラム |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、以下の研究活動を実施した。 第一に、六つの「○○教育」に関する文献調査を行った。具体的には、まず、各省庁や都道府県政令市教育委員会、行政部局及び推進団体から公表されているそれぞれの「○○教育」に関する文献の収集及び整理・分析を行い、公民教育カリキュラムと特に関わりが深いと考えられる「法教育」、「金融経済教育」、「消費者教育」、「社会保障教育」、「租税教育」、「主権者教育」について、それぞれの「○○教育」の目標、教育内容、教育方法を抽出し、目指されている方向性を把握した。次に、公表されている授業実践事例を収集し、学習指導要領に基づく現行の公民教育カリキュラムの枠組との関連を踏まえて分析・位置付けを行った。更に、それぞれの「○○教育」に関連する学会、推進団体等の研究成果である学術論文、実践記録、報告書等の収集及び整理・分析を行うとともに、研究会のシンポジウム等における議論の方向性から、成果と課題を明らかにすることを試みた。 第二に、「○○教育」に関する評価の高い授業実践事例を収集するための実地調査を行った。具体的には、中学校社会科、高等学校公民科に位置付く六つの「○○教育」に関わる授業実践事例を、すでに一定程度の成果を公表している都道府県政令市教育委員会等が管轄する学校に赴き、収集した。更に、授業後の合評会等の場を活用して、授業者に対して、①当該授業を実施しようと思った動機、②年間指導計画における当該授業の位置付け、③評価の視点等に関する聞き取りを行い、その成果を記録した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、第一に「公共性の涵養」などをねらいとして現在の初等・中等教育、とりわけ中学校社会科(公民的分野)、高等学校公民科で展開される公民教育カリキュラムの中に位置付けるよう関係省庁・団体等より要請されている「法教育」、「金融経済教育」、「消費者教育」など、既存の教科等の枠組に収まり得ない今日的な課題に対応した教育、いわゆる「○○教育」の相互の関連性を授業実践レベルで分析し、共通して認められる内容構成原理と方法を抽出すること、第二に「○○教育」の成果を取り入れて新たに構築されうる公民教育カリキュラムを提示することにある。 そのため、研究初年度にあたる平成26年度は、それぞれの「○○教育」の目標、教育内容、教育方法の抽出及び授業実践事例の収集といった、今後、「○○教育」の相互の関連性を分析するための基盤となる情報収集の段階と位置付け、研究を進めた。その結果として、おおむね順調に進展していると自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、以下の研究活動を推進することとしている。 第一に、平成27年度は平成26年度に引き続き、中学校社会科、高等学校公民科に位置付く六つの「○○教育」に関する授業実践事例の収集及びインタビュー調査を行う。事例の収集に当たっては、①学校所在地が都市部か地方か、②学校及び学級の規模、③外部講師等の専門家との連携の在り方、の3点を考慮して、事例収集校の選定にあたる。平成27年度は、本研究に関わる授業実践事例を収集する中核的な年度となることを見込んでいる。 第二に、平成26年度より継続して収集・記録した授業実践事例及びインタビューの内容を分析し、それぞれの「○○教育」に共通して認められる内容構成原理と方法を抽出するとともに、現行の公民教育カリキュラムに適切に位置付け、その関連性を明らかにする。更に、関連学会、研究会等において、本研究の成果を発表して批判を仰ぎ、研究最終年度に向け研究内容・方法の改善を図る。 第三に、平成28年度は六つの「○○教育」に関する授業実践事例の収集及びインタビュー調査を継続して行うが、その際、①複数の「○○教育」を相互に関連させて作成された単元計画に基づく授業実践事例、②クロスカリキュラムの観点から、公民教育カリキュラムを超え、学校の全体計画に適切に位置付けて様々な教科等で実施された授業実践事例の2点に着目し、それらの収集及びインタビュー調査を行うこととする。これは、新たに構築されうる公民教育カリキュラムの適用範囲を明確にする、という意図で行うものである。 第四に、3年間にわたり収集した授業実践事例等を基に「○○教育」の成果を取り入れた新たな公民教育カリキュラムを構築して、関連学会、研究会等において発表し、広く教育関係者へ発信することを予定している。
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Causes of Carryover |
当該年度は、研究対象としている六つの「○○教育」、すなわち「法教育」、「金融経済教育」、「消費者教育」、「社会保障教育」、「租税教育」、「主権者教育」に関する文献調査及び授業実践事例の収集を行った。あわせて、それぞれの「○○教育」に関連する学会、推進団体等における研究大会に参加して、最新の研究動向の把握に努めた。当該年度は研究代表者の勤務地である東京近辺から離れた地域での全国研究大会等の開催が想定より少なく、前泊・後泊等に要する経費を縮減することができたため、次年度使用額が生じることとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、本研究に関わる授業実践事例を収集する中核的年度となる。従って、六つの「○○教育」に関する授業実践の参観回数は当該年度より多くなることが見込まれる。本研究では、今日的な課題に対応した諸教育の成果を通常の教育課程に無理なく位置付け、効果的に実践されている事例を収集することを目指しており、当初予定されていた助成金に加えて当該助成金を執行することによって、学校所在地によっては前泊を要する時間帯となる1時間目の授業からの複数授業の参観が可能になる等の効果が期待できる。
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Research Products
(2 results)