2015 Fiscal Year Research-status Report
国語・算数の基礎学習困難のリスク要因の解明とリスク回避の支援教材に関する研究
Project/Area Number |
26381308
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
小池 敏英 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (50192571)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 特別支援教育 / 学習障害 / 読み書き障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
通常学級における国語・算数の重度学習困難のリスク要因として、読み書きの基礎スキルやワーキングメモリの不全がある。リスク要因に特化した支援は、学習困難のリスク要因の回避に効果的である。本研究では、漢字の読み困難のリスク要因の重複について検討するため、CHAID分析を行った。小学2~6年生児童4519名を対象とした。テストとして、漢字読字テスト及び基礎スキルテスト(特殊音節テスト、単語連鎖テスト)と認知スキルテスト(言語性短期記憶テスト、言語性WMテスト、視覚性短期記憶テスト)を行った。CHAID分析の結果、2~4年生では、特殊音節テストが低成績(10パーセンタイル以下)の者は、漢字読字テストの強い低成績を示した。また、2~3年生では、特殊音節テストは非低成績(11パーセンタイル以上)であるが、単語連鎖テストが低成績の者は、漢字読字の弱い低成績を示した。5,6年生では、言語性短期記憶テストまたは言語性WMテストが低成績の者は、漢字読字の強い低成績を示した。以上の結果から、漢字読字困難の背景要因として、2~4年生では、音韻意識または、ひらがな単語の流暢な読みの弱さ、5~6年生では、言語性ワーキングメモリの機能不全が関与していることが推測される。あわせて、ワーキングメモリ課題遂行中の前頭前野のNIRS応答の発達について、論文発表を行うことができた。これにより低学年の特性を明らかにできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、学習調査結果の分析において、大量データ処理を効果的に行うことができた。研究協力についても良好な関係を維持することができた。特に、リスク要因の重複について検討できたことは、事例を個別的に検討する上で効果的である。以上より、現在までの研究の目的の達成について、おおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、算数の低成績のリスク要因に関する研究を行うため、資料の収集と分析を遂行中である。算数の計算問題と文章問題について、検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
物品の購入で見積もり予定と一部、異なった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
文房具の購入にあてて使用する。
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