2014 Fiscal Year Research-status Report
知的発達障害の障害特性に基づく支援システムの構築に関する研究
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26381312
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
菅野 敦 東京学芸大学, 学内共同利用施設等, 教授 (10211187)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 知的発達障害 / 障害特性 / 支援システム / ダウン症 / ライフステージ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度には主に研究1「ダウン症児者の実態に関する調査」に取り組むこととし、ダウン症の障害特性を明らかにする調査研究に取り組んだ。知的発達障害の中でもダウン症を対象としたのは、ダウン症は医学的な方法による確定診断が可能であり、診断に基づき症候群としての特性を探ることが可能な点が自閉症をはじめとする他の発達障害と大きく異なる点である。ダウン症を対象として障害特性に関する研究を積み上げ、その方法論の確立を目指し、知的発達障害児者の障害特性に合わせた支援内容および方法論を構築することは学術的に意義にある研究と考えるからである。研究1「ダウン症児者の実態に関する調査」への取り組みとして、調査項目の抽出から始めた。具体的には、学齢期から成人期までのダウン症児者の「発達」「疾病」「行動・状態変化(視力・聴力・感覚、運動能力、作業能力、ADL、生活リズム、コミュニケーション、記憶能力、性格変化・感情・情緒、行動問題)」、「老化・退行」「心身機能(全般的精神機能、個別的精神機能、音声と発話の機能、摂食機能、尿路機能、運動機能、)」に関して調査票を作成した。この調査票をもとに、全国規模の親の会に依頼し、全国の政令指定都市に在住する各ライフステージのダウン症児者を推薦してもらい、郵送により調査票を送付、回収を行い、ダウン症児者の各ライフステージにおける機能面の変化、および個人内の多角的な実態を明らかにすることを計画した。ただ平成26年度は、この調査項目の適切さや妥当性、さらに表現に関して親の会との間で数か月に及ぶ調整を行ったため、調査票の発送にまで至らず、調査票の作成に留まった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ダウン症を対象として障害特性に合わせた支援内容および方法論を構築することは学術的に意義にある研究である。そこで、平成26年度は研究1「ダウン症児者の実態に関する調査」への取り組みとして、調査項目の抽出から調査票の作成を実施したが、調査対象となる全国規模の親の会との間で、調査項目の適切さや妥当性、さらに表現に関して数か月に及ぶ調整を行ったため、調査票の発送にまで至らず、調査票の作成に留まった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究1に取り組む。具体的には昨年度作成した調査票を学齢期から成人期までのダウン症児者に郵送し、ダウン症児者の各ライフステージにおける機能面の変化、および個人内の多角的な実態を明らかにする。研究計画は、6月~8月:調査票の再調整・印刷、9月~12月:調査票の送付・回収を行い、1月~3月:調査結果の集計と分析を行う。 集計項目と期待される分析結果は、①「発達」に関して、「概念」「言語表現」「言語理解」「短期記憶」「数概念」「日常生活に関する知識」の6領域に関する実態を明らかにできると考える。②「疾病」に関しては、具体的な疾病および疾病の生じた時期に関する実態を明らかにできると考える。③「行動・状態変化」に関しては、視力・聴力・感覚、運動能力、作業能力、ADL、生活リズム、コミュニケーション、記憶能力、性格変化・感情・情緒、行動問題に関して変化の生じた年齢および具体的な症状に関して明らかにできると考える。④「老化・退行」に関しては、『ダウン症老化度・退行度チェックリスト(MCRDS)』を基にした調査項目を配することで、老化および退行の実態を明らかにできると考える。⑤「心身機能」に関しては、全般的精神機能、個別的精神機能、音声と発話の機能、摂食機能、尿路機能、運動機能に関する実態を明らかにできると考える。 以上、5つの調査内容を網羅した「ダウン症児者の実態に関する調査」により、ダウン症の実態および基本特性を明らかにすることができると考える。 研究が当初の計画通り進まない可能性としては、調査票の作成と発送作業の遅れが考えられるが、すでに昨年度、親の会との間で調査項目の調整を行い、調査票の試案を検討してきた。また、発送作業に関しては、地域の特別支援学校の作業学習として発送することを考えている。これによって、当初の計画通りに研究が進行するものと考える。
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Causes of Carryover |
調査研究を計画したが調査対象となる全国規模の親の会との間で、調査項目の適切さや妥当性、さらに表現に関して数か月に及ぶ調整を行ったため、調査票の発送にまで至らず、調査票の作成に留まったため、調査にまで至らなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
調査研究(研究1)及びその結果の分析に取り組む。具体的には昨年度作成した調査票を学齢期から成人期までのダウン症児者に郵送し、ダウン症児者の各ライフステージにおける機能面の変化、および個人内の多角的な実態を明らかにする。研究計画は、6月~8月:調査票の再調整・印刷、9月~12月:調査票の送付・回収を行い、1月~3月:調査結果の集計と分析を行う。
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