2015 Fiscal Year Research-status Report
知的発達障害の障害特性に基づく支援システムの構築に関する研究
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26381312
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
菅野 敦 東京学芸大学, 教育実践研究支援センター, 教授 (10211187)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ダウン症候群 / 障害特性 / 行動傾向 / 老化・退行症状 / 心身機能 / 認知発達支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、昨年度作成した「ダウン症児者の実態に関する調査」票を学齢期から成人期までのダウン症児者500名に郵送し、ダウン症の各ライフステージにおける機能面の変化、および個人内の多角的な実態を明らかにし、ダウン症の障害特性を明らかにする調査研究に取り組んだ。結果、279名から回答があり回収率は、55.8%であった。回答者の内訳は、男性154名(55%)、女性122名(44%)、不明3名であった。年齢は、10歳代未満41名(15%)、10歳代前半48名(17%)、10歳代後半64名(23%)、20歳代前半38名(14%)、20歳代後半38名(14%)、30歳代前半26名(9%)、30歳代後半15名(5%)、40歳以上9名(3%)であった。また精神年齢の分布は、MA1歳代3%、MA2歳代21%、MA3歳代27%、MA4歳代21%、MA5歳代21%、MA6歳代4%、MA8歳代3%であった。これらの対象に対して、調査項目1.認知発達に関する調査、2.行動傾向・疾患に関する調査、3.老化・退行症状に関する調査、4.心身機能に関する調査の分析を行った。 認知機能の発達に関しては、日常的な経験の繰り返しで身につけることのできる項目は、定着が良く、一方、学習の機会を設定し、計画的な指導を通して身につけられるような項目の獲得に困難が見られた 心身機能に関しては、高次認知機能,音声と発話の機能が低く,睡眠機能,摂食機能,排尿機能,不随意運動機能,随意運動機能が高いことが明らかとなった。また、年齢群別にみると、注意機能は後期青年群が髙いことが、高次知機能は,前期および後期学齢群が後期青年群において高いことが、音声と発話の機能は,後期青年群が高いことが明らかとなった 。これらの結果に基づき、認知発達(問題解決能力)支援プログラム、および健康支援プログラムを作成している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度10月~3月にかけて支援プログラムの作成を完了する計画であったが、認知発達(問題解決能力)支援プログラムがほぼ完成したものの、健康支援プログラムが完成できていない。 その理由として、①認知発達(問題解決能力)支援プログラムの試行に時間がかかっていること、および②健康支援プログラムに関して専門家(医師)による監修作業に時間がかかっていることがある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度の研究の推進方策として、以下の3期に分けて研究を遂行する。 ①期:~6月までに、支援プログラムを完成させる ②期:7月~12月まで、プログラムの適用・実施 ③期:8月~平成29年2月まで、支援プログラムの効果の評価研究
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Causes of Carryover |
作成した健康支援プログラムの監修に関する謝金、及び、支援プログラムの試行実施に伴う経費が、平成27年度の研究の進行の遅れに伴い、使われなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度の研究の推進方策として、~6月までに支援プログラムを完成させ、7月~12月までにプログラムの適用・実施を行うため、確実に使用できる。
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