2015 Fiscal Year Research-status Report
漢字読み書きテストを用いた誤答分析によるアセスメント法の開発
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26381319
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| Research Institution | Kyoto University of Education |
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Principal Investigator |
佐藤 克敏 京都教育大学, 教育学部, 教授 (20310360)
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2014-04-01 – 2017-03-31
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| Keywords | 漢字読み書きテスト / 熟知性 / 複雑性 / タイプ分類 / 事例研究 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
読み書きに困難を示す児童の特徴を把握するための漢字テストの作成に関わる研究とテスト結果に基づいた事例研究を実施した。
漢字テストの作成では、小学校・通常の学級に在籍する3年生（126名）、4年生（123名）、5年生（149名）を対象とし、同じ熟語を用いて熟知性テスト及び漢字書字テストを作成した。熟知性テストは5件法によって評価をさせ、最初に浮かんだ印象で○をつけるように教示した。漢字書字テストは昨年と同様の手続きを用いた。
対象を正答率のパーセンタイル順位10％未満の児童（低成績群），10～50％未満児童（中成績群），50％以上の児童（高成績群）に３群に分類し、各被験者群に対して，熟知性と複雑性が与える影響について分析した結果、低成績群は他の群に比べて熟知性と複雑性の影響を受けやすいことが明らかとなった。加えて、低成績群の成績に基づいてタイプの分類を行ったところ、熟知性が高い熟語の正答率が高い児童（熟知性影響タイプ），複雑性が低い熟語の正答率が高かった児童（複雑性影響タイプ），親近性が高い熟語の正答率と，複雑性が低い熟語の正答率両方が高かった児童（両属性影響タイプ），どの値もそれほど大きく偏りがなかった児童を「両属性非影響タイプ」の４タイプに分かれることが示唆された。
事例研究では、小学3年生の児童に対し、事前テストとして漢字の読字書字課題を作成・実施し、児童の認知機能や情報処理特性との関連性と介入後の学習効果について検討した。事前テストの結果は視覚的認知視覚的記憶力に低下を認めた一方、言語的理解は良好であった。読字課題の誤答は4語でうち3語は熟知性評定値が低く未習の読み方であり、書字課題の誤答は11字のうち9字が視覚的複雑性の高い数値に属する漢字であった。書字課題は誤答11字のうち6字について言語的理解を促す聴覚法（春原ら,2005）を用い支援を行ったところ、一週間後の書字課題で4字が正反応を示した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は新たに知性テストも加えて再度漢字刺激の選定を行い、本調査を実施することができた。また、同時に漢字書字に困難を示す児童1名ではあるが事例研究を実施し、漢字の複雑性と視覚認知の関連について検討することができた。誤答分析はまだ実施できていないが、概ね予定に沿って進められていると考える。
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| Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は漢字読み書きテストを実施したが、平成27年度は書きのテストに熟知性のテストを加えて実施した。新たに熟知性テストを加えた理由は、昨年度参考とした熟知性評価に関する先行研究（北尾ら,1977）が古く現在の児童の評価とそぐわない可能性があること、先行研究は５年生を対象としたものであり、他の学年の熟知性に対応するかどうかが疑わしいことなどが考えられたため、より精度の高いテスト刺激を選定するためである。また、平成26年度に実施した予備調査から読みテストの平均正答率が8割弱を示したことから、平成27年度は書字テストのみを実施することとした。
本年度の研究において、漢字書字の成績が低い児童が成績の高い児童よりも熟知性及び複雑性の影響を受けやすいことが示唆されたが、漢字書字の詳細な誤答分析はまだできていない。今後誤答分析を加えること、認知機能に関するテストも加えた事例を増やすことを考えて研究を進めたいと考える。
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| Causes of Carryover |
心理検査購入に若干予算が足りなくなり、その分を使用できなかった。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度であるため必要な物品は早めに購入する予定である。
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Research Products
(1 results)
