2014 Fiscal Year Research-status Report
自閉症スペクトラム児・者における包括的・生涯的支援プログラムの地域モデルの開発
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26381320
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
井澤 信三 兵庫教育大学, 学校教育研究科(研究院), 教授 (50324950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡村 章司 兵庫教育大学, 学校教育研究科(研究院), 准教授 (00610346)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 自閉症 / 包括的・生涯的支援プログラム / 地域モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、自閉症スペクトラム障害(ASD:Autism Spectrum Disorder)のある児・者に対する支援プログラムの地域モデルを開発することである。平成26年度では、以下の4つの研究を実施した。研究①:ASD児・者における包括的・生涯的な支援プログラムに関する先行研究のメタ分析:ASD児・者を対象とする支援プログラムについて、「包括的」および「生涯的」といった視点から整理・統合していくために、国内外の先行研究を概観し、主に、行動理論系プログラム(ABA、PBS、PRT、SSTなど)、TEACCHプログラム、発達理論系プログラム(DIR、RDI、SCERTSモデルなど)の各文献の検討を行った。対象、概要、特徴、背景理論、プログラム内容等という観点から整理・分析し、共通する基本となる支援の発達領域・内容を抽出し、年齢段階毎に再整理した。研究②:発達障害者支援センターによって開発・提供されている支援プログラムの調査・分析:数カ所の発達障害者支援センターにおける現状と課題について聞き取り調査を行った。研究③:障害児・者における国内の先進的な地域モデルの調査・分析:発達障害およびその他の障害種も含め、国内におけるモデルとなるような先進的地域(横浜市とその周辺地域)への視察、聞き取り調査を行った。研究④:モデル地域におけるニーズ調査と支援プログラムの予備的開発:明石市立発達支援センターにおける事例検討会に10回程度参加し、現状の地域のニーズ調査を実施した。かつ、年間を通して、個別指導プログラムおよび小集団指導プログラム(社会的問題解決プログラム、就労準備支援プログラム)を実施した。また、NPO法人ピュアコスモ主催による「高機能自閉症スペクトラムのある高校生以上の当事者支援および保護者のための連続講座」を実施し、現在、そのデータの整理・分析を実施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究①については、データ分析が進み、研究論文として作成している段階であり、おおむね順調に進展していると評価した。研究②については、当初は、全国にある発達障害者支援センターに質問紙調査を行う計画であったが、現在、発達障害者支援センターは地域における二次的な相談機関への移行段階といった過渡期であったため、予備調査に留めた。一方で、兵庫県にある発達障害者支援センターに対する現状と課題に関する聞き取り調査を行うことができたこと、さらに、ひょうご発達障害者支援センター(加西ブランチ)が主催する地域の支援ニーズに対応するためのプログラム開発に関する協働プロジェクト「ひきこもり状態にある発達障害者を持つ保護者への支援プログラム」を優先することとしたが、おおむね順調に進展していると評価した。研究③については、横浜市とその周辺地域を視察、聞き取りを実施し、有効なデータ収集ができたため、おおむね順調に進展していると評価した。研究④については、地域のニーズ調査と予備的な支援プログラムの開発を実施することができ、おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の27年度の計画では、前述した研究①~④について、さらに進めていく。研究①では、先行研究に関するメタ分析を進めていき、支援プログラムにおける「軸」を選定し、支援プログラム試案を作成する(研究論文としてまとめて投稿する)。研究②では、発達障害者支援センターに対する地域の支援ニーズおよび地域で展開しているプログラムについて、調査方法を検討した上で実施していく。研究③では、福岡、札幌等を候補として視察、聞き取り調査を予定している。研究④では、前年度実施した成果をとりまとめて、さらに今年度もニーズ調査と予備的な支援プログラムの開発を継続的に実施していく。
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Causes of Carryover |
会計上、年度末(3月31日)に支払い完了したものの収支であり、実際的には年度内での予算執行は済んでいる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
会計上、年度末(3月31日)に支払い完了したものの収支であり、実際的には年度内での予算執行は済んでいる。
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