2014 Fiscal Year Research-status Report
RTIモデルによる読字指導法における反応不良例の脳機能・認知行動特性の解明
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26381324
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
関 あゆみ 鳥取大学, 地域学部, 特命准教授 (10304221)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小枝 達也 鳥取大学, 地域学部, 教授 (70225390)
内山 仁志 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 准教授 (60348604)
谷中 久和 鳥取大学, 地域学部, 特命助教 (60548907)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 学習障害 / 発達性ディスレクシア / 早期発見 / 早期支援 / RTIモデル / 認知特性 / 機能的MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
<先行群:2年生>2013年度の参加児318人のうち、第2段階の指導(解読指導)によっても十分な改善が得られなかった児は12人(3.7%)であった。このうち、8名から保護者の同意が得られ、個別もしくは2人組で語彙指導を行った。語彙指導にはデジタル音読指導教材を用いた。指導開始前(5月),10月, 3月に音読能力, 語彙力, 認知能力の評価を行った。全例で音読速度(特に単語,単文,長文)の改善,語彙力の向上を認めたが,3月の時点で全例が2項目以上において音読時間が平均+2SD以上であった。個別評価の結果,5名が発達性ディスレクシア(参加者の1.6%に該当),1名が軽度知的障害,1名がADHD+言語発達の遅れ,1名が反応性愛着障害と判断した。発達性ディスレクシアと判断した児のうち1名は発達性構音障害の合併を認めた。全例に一定の指導効果は認められ,明らかな反応不良例は同定できなかったが,他の疾患・状態像の合併例にやや指導効果が乏しい傾向が認められた。サンプル数が少なく現時点での評価は困難であるため,反応不良例の認知特性・行動特性については当初の予定どおり次年度のデータと合わせて検討をする。 <後行群:1年生>鳥取大学と鳥取市教育センターが連携して行った支援事業と連携して研究を行うことが可能となった。このため,鳥取市内の全小学校45校の1年生約1700人が,第1・第2段階の指導に参加し,この中から研究協力者を募集することとなった。第2段階の指導によっても十分な改善が得られない児は42名のうち,知的障害が疑われる13名(9名は2年時より支援学級に入級)を除く23名(参加者の1.6%)を第3段階の指導対象とした。このうち保護者の同意が得られた児を対象として昨年と同様の評価と個別指導(語彙指導)を行うよう準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
支援、認知機能評価については当初の予定どおり進展しているが、使用を予定していたMRIの機器更新が急遽決定したため、平成26年度中は機能的MRI研究が行えなかった。 平成27年度より研究代表者が所属変更となるため、機能的MRI実験のための環境整備や倫理審査申請に時間を要すると思われ、平成27年度前半は機能的MRI実験が開始できない可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
機能的MRI研究については、後行群(平成27年度の2年生)のみを対象として行う予定である。実験開始が遅れることが予測されるため、データ取得は今年度から来年度にかけて行うこととする。 また、平成27年度から研究代表者の所属変更のため、研究実施体制についての変更が必要となる。参加者に対する個別評価や保護者との面談は代表者が訪問して鳥取大学の共同研究者とともに実施する予定であるが、実際に指導を行う担当者への助言が難しくなる可能性がある。このため、指導教材の管理、指導方法に関する情報提供をインターネットを用いて行うこととし、サーバーの管理を共同研究者に依頼する。
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Causes of Carryover |
使用を予定していたMRIの機器更新により機能的MRI研究が行えなかったため、MRI撮像費、参加者への謝金、助言を受けるための旅費が未使用となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
機器の更新作作業が終了したため、機能的MRIについては次年度の参加者を対象として実施する予定である。実験開始時期が遅れると思われるため、データ取得は平成27年度から28年度にかけて実施する予定であり、実施状況によってはMRI撮像に関わる費用を平成28年度に向けてさらに繰り越す可能性がある。 また、代表研究者の所属先変更のため、指導教材の管理と指導法に関する情報提供をインターネット上で行う必要が生じたため、サーバーの管理費を次年度予算に組み込んでいる。データ取得期間の変更により,機能的MRIに要する費用は減少すると見込まれるため,次年度使用額の一部をこの費用にあてる。
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Research Products
(5 results)