2015 Fiscal Year Research-status Report
学習困難児における実行機能の評価と支援方法に関する基礎的ならびに実践的研究
Project/Area Number |
26381325
|
Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
惠羅 修吉 香川大学, 教育学部, 教授 (70251866)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 智子 香川大学, 教育学部, 教授 (00243759)
中島 栄美子 香川大学, 教育学部, 准教授 (70533884)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 実行機能 / 学習困難 / 語想起課題 / 心理アセスメント |
Outline of Annual Research Achievements |
子どもたちの個の特性に応じた教育を実現するため,心理学が貢献可能な領域の一つに認知機能の評価がある。本研究では,近年関心を集めている実行機能に焦点をあて,学習困難を抱える児童生徒を対象とした実行機能の評価とそれに基づく支援方法の開発を目的とする。具体的には,①実行機能の評価方法に関する基礎研究を行うことで検査が反映する認知機能を特定するとともに,②学習困難児を対象として実行機能評価に基づく支援方法のあり方について実践的な事例研究を行い,教育指導における臨床的な有効性について検証する。 基礎研究としては,実行機能の評価における尺度の妥当性について検討した。実行機能検査として語想起課題とトレイル・メイキング課題を取り上げて,課題遂行に関与する認知機能について行動指標と生理指標(近赤外分光法による脳血流計測,OxyHb濃度)に基づく神経心理学的な分析を実施した。語想起課題については,現在,データ収集を継続中である。トレイル・メーキング課題については,課題の難度が高まるについて,課題遂行時間が延長するとともに最前頭部でのOxyHb濃度が増大することを確認した。最も課題難度の高い条件では,OxyHb濃度に有意な左右差があり,右前頭部の活動亢進が認められた。 事例研究としては数的推論に弱さがある小学2年生における算数文章題の指導実践を行った。指導にあたり,KABC-IIおよび実行機能検査を実施して対象児の認知機能の特性について評価し,指導計画を策定した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では,生理指標として近赤外分光法による脳血流計測を行う。近赤外線組織酸素モニタ装置の納品と機器設定が当初計画より遅れてしまったことと,平成27年度より研究代表者が附属特別支援学校の校長職を兼務することになり,大学の研究室で活動する時間に制約が生じてしまったことで,生理指標による研究に遅延が生じている状況にある。なお,実践研究については,順調に事例研究を蓄積している。 以上より,全体としては若干の遅れが生じているが,研究目的の達成を阻害するほどの遅れではない。
|
Strategy for Future Research Activity |
基礎研究については,生理指標を活用した検討を平成28年度中継続して実施する計画である。50名程度のデータを収集した後,詳細な解析を実施する。平成27年度に引き続き,トレイル・メイキング課題での測定を行い,語想起課題との関連性について検証する。 実践研究については,事例数を増やすことよりも,一つ一つの事例を大切にした指導実践の蓄積をはかる。
|
Causes of Carryover |
平成27年度より研究代表者が附属特別支援学校の校長を兼務することになり,研究計画当初に予定していた学会参加が学校行事と重なったため不参加や期間短縮をせざるを得なかった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究に必要な消耗品の購入にあてる計画である。
|
Research Products
(2 results)