2014 Fiscal Year Research-status Report
高等学校と外部専門家の連携による発達障害生徒への支援システムの構築
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26381329
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
衛藤 裕司 大分大学, 教育福祉科学部, 准教授 (00284779)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
肥後 祥治 鹿児島大学, 教育学部, 教授 (90251008)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 高等学校 / 特別支援教育 / 実態把握 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,高校生自身が感じている「学習面・行動面(対人面を含む)の困難」の実態を把握するための質問紙の作成を行った。対象生徒は,普通科2校,総合学科1校,専門学科(農業科)1校の計4校に在籍する高校2年生677名である。分析では,データの欠損,同一の評定のみの回答を除く677名のデータが使用された。 質問紙の因子分析の結果,質問紙は第1因子:「行動を制御する・他者と関わる・知覚すること」の困難,第2因子:「考えを表現すること」の困難,第3因子:「長く注意を払うこと」に関する困難,第4因子:否定的な精神状態,第5因子:「読み書きを行うこと」に関する困難の5因子で構成されていることが明らかにされた。また,高校生活の困難さに関しては,学校毎に困難の程度の集中層が異なっていた。A校とD校は困難度(低)に,B校は困難度(高)に,C校は困難度(中)に集中しており,多様であった。学習面・行動面(対人面を含む)の困難さを比較すると,学習面に関する困難を感じている者が最も多く,行動面・対人面に関する困難は同程度であった。この結果は,第52回日本特殊教育学会(高知大学)において口頭発表された。 また,自主シンポジウムを企画し,高校の特別支援教育課の課題を18示し,それらのうち中核的な3課題において先進的な話題提供を受け(うち1校は本研究の共同研究者による海外の高校の調査報告),検討を行った(第52回日本特殊教育学会 高知大学)。 また,本年度は,高校生1年生7000名弱を対象とした調査をさらに実施した。この調査は,平成27年度も引き続き行われ,2学年分を一括して検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究の目的は,高校生本人が記入する「学習面・行動面(対人面を含む)の困難に関する質問紙」を作成することであった。作成された質問紙は5因子で構成されていたが,当初の予定では3因子または10~12因子程度のどちらかの構成になる予定であった。これは「対象校の偏り」と「質問項目の受け取り方」に問題があったことがわかり,再度,実施した7000人弱を調査した研究では11因子が抽出された。この質問紙作成の目的は,2回目の調査により達成できたと考えている。また,7000人弱の調査は,予定では平成27年度に実施することになっていたが,平成27年度・平成28年度の2年間にわたり,実施できることになった。この点に関しては,予定以上に進展できた。 また,平成26年度はフランスの国立特殊教育研究所の訪問を中心に,海外の高等学校等の教育システムに関する情報収集を順調に行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は,高校生7000人弱を対象とした2回目の調査を実施する予定である。また,高等学校における特別支援教育の18の課題に関する自主シンポジウムの2回目を行い,特に基盤となる理念,高校段階特有の難しさについて検討する予定である。
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Research Products
(10 results)