2015 Fiscal Year Research-status Report
発達障害の障害受容の視点に立った学校・地域連携による継続的支援に関する研究
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26381340
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Research Institution | Niigata Seiryou University |
Principal Investigator |
中村 恵子 新潟青陵大学, 看護学部, 教授 (10410250)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 発達障害 / 障害受容 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度から引き続き、就労移行支援事業所において発達障害者の活動の参与観察を行い、発達障害や就労支援についての理解を深めた。そのうち、メンタルトレーニングをアサーション・トレーニングや論理療法等の内容で4回担当した。 就労移行支援事業所の利用者である発達障害者8名を対象にして面接調査を実施した。対象者は学校卒業後に社会的不適応を経験し、社会的支援につながった方々である。社会の不登校やうつ病といった二次的障害があったにも関わらず長らく発達障害との認識に至らなかったことや、発達障害との認識がありながら学校不適応がなかったため支援の対象とならなかったことが、発達障害についての支援が先延ばしになった理由として挙げられる。発達障害の障害受容に関しては、診断だけでは十分でなく、障害の特徴と自身の経験や特性とが結びついて、実感を伴って理解することが大切であることが分かった。自分の強みと弱みを理解し、どのように考えたり行動したりしたらよいかが分かることが、将来に希望をもつことにつながると推測される。今後も調査を続け、理論的飽和を目指す。 本学部では特別な支援を要する学生に対して、昨年度からホワイトボードケース会議を実施している。昨年度、研修会の開催やケース会議運営のシステム化(対象となる学生やケース会議のメンバーの選定の方法、ケース会議の進め方、個人情報の管理等)を行った。本年度は、発達障害であると推測される2名の学生のケース会議のファシリテーターを担当した。また、指導者講習会や不登校ひきこもり研究会等においても、事例をもとにケース会議を複数回実施した。 来年度、研究成果をまとめを作成するにあたり、発達障害者支援、障害福祉や障害教育、地域保健、精神看護、学校教育を専門とする研究者や専門医等に研究協力を依頼し、内諾を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
発達障害者を対象にした面接調査を今年度中に行う予定であったが、まだ継続している段階であるため、研究がやや遅れていると判断した。来年度、学会で研究発表を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
発達障害者を対象にした面接調査を継続し、研究成果を学会等で発信する。 ケース会議の方法として、ファシリテーションとしてのホワイトボードケース会議や家族療法で用いられるジェノグラム、事例研究法の一つであるインシデント・プロセス法が知られている。これらの方法を比較検討し、実践に活用するために、支援のためのケース会議の在り方について考察する。 28年度には、研究成果を実践に活かしてもらうために、発達障害の理解と支援について報告書をまとめ、新潟市内の学校や関係機関に配布する予定である。発達障害の早期発見・早期対応と、支援における連携(校内の教職員、教育と福祉、学校保健と地域保健、学校と医療機関・関係機関)に重点をおき、冊子を編集する。作成にあたって、新潟市内の関係機関に訪問調査を実施し、報告書に関わる情報提供等の協力依頼を行う。これまでの研究成果を収めるとともに、既に協力依頼している研究者や専門家にも研究分野に応じて執筆を担当していただく。
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Causes of Carryover |
発達障害者を対象とした面接調査が3月からの実施となったため、研究対象者への謝金やテープ起こし代などの支払いが次年度にずれ込み、次年度使用額が生じた。 また、次年度に発行を予定している報告者は、研究協力者への謝金や出版部数、ページ数、カラー印刷の程度によって予算がかさむことが予想される。そのため、今年度、出張旅費や物品の購入等の一部の経費を個人研究費から支出し、発行のための予算が少なくならないようにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
発達障害者を対象とした面接調査の研究対象者への謝金やテープ起こし代として使用する。 また、関係機関等への訪問調査や学会での研究発表のための旅費に当てる。 さらに、報告書の出版に係わって、印刷費や研究協力者への謝金として使用する。
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