2014 Fiscal Year Research-status Report
大学におけるプロアクティブなキャリア教育・支援モデル構築に関する研究
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26381343
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
中川 洋子 立命館大学, 共通教育推進機構, 教授 (70290608)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 大学生のキャリア教育 / キャリアサービス体制 / プロアクティブな支援モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、大学生を就業に対するレディネスでセグメントし、セグメントに応じた「プロアクティブな支援モデル」を構築することである。 そのために本年度は、「①予備研究より導き出されたセグメントの基準(認知的要因)について、予測可能性を確認する実証研究を行う②セグメントの精度をより向上させる新たな指標を探索するための文献調査を行う」の2点を中心に取り組んできた。 具体的には、①については、2つのタイプのインターンシップ体験者(通常の単位認定型インターンシップと長期チーム型インターンシップ)を対象にした「プログラムの事前・事後」調査を基に、プログラムの形態別に、対象者の認知スタイルが教育効果に及ぼす影響について分析することで、セグメント基準(認知的要因)の予測可能性について検討した。予備調査より予測されていたことに加えて、教育効果(特に「ストレスマネジメント」)の項目で、プログラム形態と認知スタイルによる大きな特徴が見られた。これらの詳細については継続調査を行い、今回導き出された結果を再確認した上で、翌年度以降に公表する予定である。 ②については、新たな指標として、Petersonモデルを参考にExternal Conflict(大学生のキャリア意思決定に及ぼす外部からの影響とその影響量の認知)を測定する変数を検討するために、国内外の先行研究の文献調査を行った。これまでのレビューの結果、我が国における特徴的な要素として、新卒採用の採用基準や手順に対する「理解度」「曖昧さへの不安」「無効力感」などが挙げられることが分かった。翌年度以降、更なるレビューを重ねて、測定尺度の検討を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、「①予備研究より導き出されたセグメントの基準(認知的要因)について、予測可能性を確認する実証研究を行う②セグメントの精度をより向上させる新たな指標を探索するための文献調査を行う」の2点を中心に研究を進めた。実証研究・文献研究ともに、順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
全般的に、予定通り実施されているため、次年度以降も当初の計画どおり、以下の4点について研究を進めていく。 1.適切なセグメント基準の検討(①認知的要因のセグメント基準としての予測可能性の再確認、②セグメントの精度向上のための追加指標の探索)2.各セグメントに応じた支援プログラムの構築と効果測定(①セグメント別支援プログラムの構築、②プログラム内容と支援体制を考慮した効果測定) (研究遂行上の課題) 2-②の「効果測定」では、まず、サービス提供者(教員・職員)の属性や組織構造などのコントロール変数となる項目を明らかにする必要がある。そのために「ヒアリング調査」を基に質問項目を導き出し、「(大学宛)質問紙アンケート」を実施する予定にしていた。しかしながら、これまでに実施できた「ヒアリング調査」の結果から、大学(キャリアセンター等)宛に、質問紙アンケートを送付しても、サービス提供体制を十分把握できるような回答を得ることは難しいことが分かった(理由:①大学の種別・規模により組織構造が余りにも異なること、②キャリア教育・支援担当者は、非常勤・非正規が多いこと、③同一大学であっても担当者により、キャリア教育やインターンシップの定義づけが(内容・対象)多様であること) (対処方法) 以上のような現状を考慮して、調査方法の変更を検討している。具体的には、所属大学ベースではなく、「キャリア教育・支援」担当者という個人を対象に、WEB調査等を活用して、担当者(個人)の「属性」や「キャリア教育観」と、担当者が「認知したサービス提供組織の構造」について、調査することで明らかにしたいと考えている。
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Causes of Carryover |
(1)アンケートデータの入力について、初年度ということもあり、研究協力者と「データの回答ミス」や「データのバラつき」を見るために、個票を確認しながら外注せずに「手作業で入力」したため、入力費として予定していた助成金を使用しなかった。 (2)同様に、「研究室内」でデータ処理を完結したため、データ持ち出し・保存用を兼ねて購入予定であった「SSDドライブ」を購入しなかったため、消耗品費として予定していた助成金を使用しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
(1)上記理由(1)については、今年度の調査結果の一般化のために、翌年度は、多様な職業レディネスの大学生を対象にした「WEBアンケート」を実施したいと考えているので、本年度未使用分の助成金を含めて使用予定である。 (2)上記理由(2)については、翌年度は(予定通り)大規模データの処理を行うため、繰り延べ助成金で物品購入を予定している。
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