2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26390001
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
野々村 美宗 山形大学, 理工学研究科, 准教授 (50451662)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 歯モデル / アパタイト / シリコン |
Outline of Annual Research Achievements |
食べ物の触感を評価するためには口腔内を忠実に再現したモデルを用いたセンシングシステムが求められる。しかし、既存の食感測定装置は、食べ物と接触する部分が一般的なステンレスで、歯の化学的組成や形状は考慮されていない。そこで、歯の表面構造を模倣したアパタイト被覆シリコンウエハーの開発を試みた。 チタンコーティングシリコンウエハーを擬似体液に1週間浸漬すると、基板表面でアパタイトが生成される不均一核形成が起こった。0.1 M NaOH水溶液で前処理をすると、不均一核形成が起こる確率が高くなった。チタンコーティングされていないシリコンウエハー表面では、擬似体液中でアパタイトが生成される均一核形成が起こった。不均一核形成によって生成されたアパタイトは半球状の粒子で、均一核形成では球状だった。また、チタンコーティング、アルカリ処理の有無に関わらず、擬似体液に3週間浸漬するとシリコンウエハー表面はアパタイトで覆われた。 これらの検討によって、汎用性の高いシリコンウエハ表面に歯の主成分であるアパタイトを積層するだけでなく、表面の凸凹構造を変化させることが可能であることが明らかになったことは、食感センシングシステムを構築するうえで重要な成果と言える。ただし、本検討で得られた材料は、乾燥するとアパタイト層はウエハー表面から剥離してしまった。そこで、今後、積層構造をより安定で耐久性の高いものに改善していくことが必要である。 一方、歯モデルとの開発と並行して、既に開発が終了しているしたゲル材料を用いて調製した舌モデル表面における界面現象の評価については順調に検討が進んでいる。これまでに、舌モデル自体の力学特性について検討しただけでなく、その表面においてクリームを模したエマルションがどのような摩擦挙動を示すか明らかにしている。今後、これらの界面現象が食感に及ぼす影響について解析する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
歯モデルとして利用するためにあらたにアパタイト被覆シリコンウエハを調製する方法を検討し、目標とする材料の調製法を確立した。ただし、アパタイト層とシリコンウエハの間の接着力が弱いため、実用化に向けては今後の改善が求められる。一方で、舌モデル表面における界面現象については当初の予定以上に進展し、舌表面に存在する味蕾という凸凹構造の役割やエマルションの状態が界面現象に及ぼす影響について興味深い知見が得られた。これらの状況を勘案し、本研究課題はおおむね順調に進展しているものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は歯モデルとして利用するアパタイト被覆シリコンウエハを改良するとともに、舌モデル表面における界面現象を解析、食感との関係を明らかにする。特にエマルションのふるまいについて検討し、クリーム・マヨネーズなどの食品設計の基礎とする。
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Research Products
(7 results)