2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26390004
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
越野 雅至 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノチューブ応用研究センター, 研究チーム長 (00505240)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 電子顕微鏡 / TEM / EELS / 高速 / 高感度 / 分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は1. 高速ADF像―EELS情報取得技術の確立,2. 原子ラベリングの検討,3. 温度やエネルギーなどの外部環境変化に対する分子の動きの解析,4. 超薄膜、真空への試料固定による超高感度測定を行った.高速ADF像―EELS情報取得技術に関しては,任意の時間でEELS取得ができるアルゴリズムを開発し,その手法が適用可能な系を検討した.いくつかの大きな物質では,室温および低温でその構造変化とEELSの同時取得が可能であった.グラフェン,h-BNなどの低次元物質においては,600℃付近の高温観察により安定な像観察とEELS取得が可能となった.同時に加速電圧と試料厚み,S/N比に関してTEM像およびSTEM像の検討を進めている.特に60kV, 30kVのSTEM-EELS解析をh-BN, フラーレンで実現した.これらの結果を理論計算より検証し,4本の共著論文を報告した.一方,単原子レベルの化学変化などは,EELS感度の向上を検討している.また,同期のタイミングのずれなどいくつかバグが残っているので今後修正を行う.低ドーズ量TEM取得ではS/N比が小さくなるが,ドリフト補正の有効性を検討した.独自開発スクリプトとGatan Softwareに実装された各種フィルターの適用を比較し,最適な条件を確認した.水素をフッ素,塩素,臭素,ヨウ素に置換したハロゲン化ベンゼンをカーボンナノチューブに導入し,そのTEM像,STEM像,ADF STEM-EELS像,動的変化,および化学反応をトレースし現在データ解析中である.またナノカーボン材料の表面に物理吸着した量子ドット像などデータ解析中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に基づき順調に研究が遂行された.近年,商業ソフトウェアにおいても高機能な画像補正技術が組み込まれ,独自開発した画像補正技術とともに適宜選択しながら利用している.ナノチューブに内包したハロゲンタグ付き有機単分子のSTEM-EELS分析では電子線とともに分子が動くため,絶対的な位置決めが難しい.この点は今後さらなる検討をしていく.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,各種分子の動きおよび化学反応の観察および解析を進めていく.初年度に引き続き、高速STEM-EELS分析を用いた原子ラベルを施した有機分子の動きの解析、各種環境を変化させた分子の動きの解析、そして巨大生体分子の高感度測定を行う。また、分子の動きからさらに化学反応に関する高速撮影も開始する。初年度から行う予定のハロゲン化有機分子の破壊仮定の研究においては、金属などの様々な触媒を系に導入し、環境負荷の大きい安定な有機分子の分解反応を詳細に検討する。同様に初年度に得られた成果に新たなアイディアを加味することで、分子レベルの結晶成長過程、タンパク質、DNAなどの微細構造解析への応用を検討する。
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Causes of Carryover |
全体的に必要なものが当初の予想よりも多くなったため,例えば計算に用いるサーバーを市販のものから独自に組み上げるよう変更し,予算をきりつめる一方,よりグレードの高い最新のCUDA core搭載GPUを利用した.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
試薬,実験器具など消耗品などの購入に充てる.
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Research Products
(6 results)