2016 Fiscal Year Annual Research Report
Nanoscale nuclear spin resonance imaging in a quantum Hall system
Project/Area Number |
26390006
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
橋本 克之 東北大学, 理学研究科, 助教 (30451511)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 走査プローブ顕微鏡 / 核スピン共鳴 / 量子ホール効果 / 量子ホール効果ブレークダウン / ナイトシフト |
Outline of Annual Research Achievements |
独自に開発した走査核スピン共鳴顕微鏡を用いた核スピンナイトシフトマッピングを行うことで、電子スピン偏極度の空間分布の実空間マッピングに成功した。その結果、量子ホール効果ブレークダウン臨界電流近傍I = 1.4 μmでは電子偏極度の空間変化は小さくほぼ一定であるが、I = 2.6 μmまで電流を大きすることで、顕著な空間変化が生じることを見出した。後者の量子ホールブレークダウン領域では、電流注入側から20μm離れた位置で、電子スピン偏極が約20パーセント程度減少することが分かった。この空間変化は、量子ホールブレークダウンのメカニズムの一つであるブートストラップメカニズム(電子が電界で加速されるために生じる雪崩式電子励起)により電子温度が空間的に上昇したためであると考えられる。この結果は、量子ホールブレークダウンの電子スピン状態の空間分布分を初めて可視化したものであり、量子ホールブレークダウンの微視的なメカニズムの解明につながると考えられる。また、走査核スピン共鳴顕微鏡が、他の量子ホール電子スピン偏極度の空間分布を測定するための強力なツールとなりうることが証明された。これらの結果は、8月に中国の北京で行われたInternational Conference on the Physics of Semiconductors (ICPS2016)でも高く評価されれ、招待講演に採択された。 また、走査核スピン共鳴顕微鏡による量子ホール効果ブレークダウンでの電流励起核スピン偏極の局所測定に関する実験結果をまとめ、ジャーナルAIP ADVANCES 6, 075024(2016)に発表した。
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Research Products
(8 results)
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[Presentation] 走査核スピン顕微鏡2017
Author(s)
橋本克之
Organizer
東北大学電気通信研究所共同プロジェクト研究会
Place of Presentation
東北大学(宮城県仙台市)
Year and Date
2017-02-24 – 2017-02-24
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