2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26390020
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
桑原 穣 熊本大学, 自然科学研究科, 助教 (60347002)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗原 清二 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (50225265)
山口 佳宏 熊本大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (10363524)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 光応答性材料 / ナノ材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
修飾用アゾベンゼン化合物(MAz)の合成とナノシートへの修飾:これまでのサーモトロピック液晶中での研究結果を踏まえて、ナノシートの修飾に適したトリエトキシシラン基を有するpush-pull型アゾベンゼン化合物の合成を行ない、目的とした化合物MAzを得た。ニオブ化合物ナノシートまたは酸化グラフェンナノシートをMAz溶液に浸漬して、加熱・反応させ、MAzをナノシートに修飾した。また、光応答挙動の評価における参照粒子とするために、MAz修飾マイクロ粒子を調製した。ナノシート上においても、MAzの光応答性が観測された。ナノシート上のMAz修飾量が光応答挙動に影響していることが示唆されたため、分光学的および熱力学的評価により比較検討を行なった。しかし、ナノシートにおいては検討が困難であったため、主にマイクロ粒子を用いてMAz修飾量などの評価を行った。 リオトロピック液晶系におけるMAz修飾ナノシートの刺激応答挙動および相変化挙動の評価:リン脂質ベシクル分散系を採用して、MAz修飾ナノシートの刺激応答性を評価した。蛍光色素を内包したベシクルからの蛍光挙動変化を検出することにより、ベシクル構造体の分子構造変化を評価した。その結果、MAzと膜分子との相互作用が弱いことが示唆されたため、より強い相互作用を有するアゾベンゼン化合物を得るための分子設計が必要性となった。そこで、分子内にコレステロール基を有するアゾベンゼン化合物MCAzを新たに合成した。MCAzを用いて検討した結果、内包蛍光色素の放出挙動は僅かに変化した。再現性も含めて、さらなる検討が必要である。 MAz 修飾ナノシート存在下刺激応答による細菌増殖挙動評価:リオトロピック液晶系における検討において予定より時間を要したため、MAz修飾ナノシート材料を添加した培養実験系における主な評価は次年度とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
修飾用アゾベンゼン化合物MAzの合成とナノシートへの修飾において、トリエトキシシラン基を有するpush-pull型アゾベンゼン化合物の合成を行ない、ナノシートへの修飾を目的とした化合物MAzを得ることができた。ナノシートに対してMAzの修飾に成功した。また、ナノシート上においても、MAzの光応答性を観測した。 MAz修飾ナノシートを含んだ蛍光色素内包ベシクルにおける蛍光挙動変化を検出する手法を用いて、ベシクル構造体の分子構造評価を行なった。膜分子とのより強い相互作用を目指して、分子内にコレステロール基を有するアゾベンゼン化合物MCAzを新たに合成した。再現性の確認が必要であるが、MCAzを用いた検討の結果、ベシクル構造体の分子構造における光応答性を確認することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
(2) リオトロピック液晶系における(MAz)修飾ナノシートの刺激応答挙動および相変化挙動の評価:引き続き、蛍光色素内包ベシクル分散液の蛍光挙動を検出する手法を用いて、MAz修飾ナノシートの刺激応答性を評価する。偏光顕微鏡観察または蛍光顕微鏡観察下でアゾベンゼン修飾ナノシートに可視光レーザー光を照射して、ベシクル構造体の膜挙動、内包蛍光色素の放出挙動などを評価する。レーザー光の強度依存性、UV 光などの異なる波長の光照射における評価についても実施する。 (3) MAz 修飾ナノシート存在下刺激応答による細菌増殖挙動評価:リオトロピック液晶系の結果を基に、単細胞細菌である、大腸菌または枯草菌の培養実験系を確立した上で、MAz 修飾ナノシート材料を添加して、刺激照射による細菌増殖挙動を評価する。 (4)修飾用アゾベンゼン化合物MAz の再設計と刺激応答による細菌または細胞系での評価:上記、細菌増殖評価実験の結果、刺激応答の有無が検出された場合は、その細菌の生体膜の相互作用に最適となる官能基を探索して、修飾用MAz を再設計して合成する。刺激応答性の向上および機構の解明を行う。
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Causes of Carryover |
アゾベンゼン化合物の合成および光応答挙動のために必要である試薬等の消耗品について、既存品を使用することができたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
リオトロピック液晶系におけるMAz修飾ナノシートの刺激応答挙動および相変化挙動の評価において、より多くの検討(再現性の検討)が必要となった。その増分の物品費購入費として、次年度以降に利用する。
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