2014 Fiscal Year Research-status Report
屈折率3次元ナノ制御による超低反射表面構造の創製と有機太陽電池への応用
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26390025
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
久保田 繁 山形大学, 理工学研究科, 准教授 (60396588)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣瀬 文彦 山形大学, 理工学研究科, 教授 (50372339)
水野 潤 早稲田大学, 付置研究所, 教授 (60386737)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 太陽電池 / 反射防止 / 光学解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
有機太陽電池の発電効率向上を目的として、屈折率の3次元ナノ制御を応用した反射防止技術の検討を行った。多層干渉膜とナノテクスチャ(モスアイ構造)を融合したハイブリッド反射防止構造の解析では、有機太陽電池の発電層の電界強度が増強されることで、性能が大幅に向上することを示した。また、反射防止構造の主要なパラメータの変化が、短絡電流密度に与える影響を調査した結果、モスアイの周期の影響が相対的に大きいことが判明した。本解析の結果は、有機半導体のバンドギャップエネルギーに相当する波長に近いモスアイ周期を用いることで、大きな回折を引き起こして、光を発電層内に効果的に閉じ込められることを示唆している。また、反射防止構造の光学設計法として、グリッドサーチとパターンサーチを併用した2段階最適化アルゴリズムを提案した。この手法では、グリッドサーチにより大域的な最適解を近似的に求めた後に、パターンサーチにより解の精度を高めることで、多次元パラメータ空間での探索を効率よく行うことができる。本最適化アルゴリズムを、時間領域有限差分法(FDTD法)による光学シミュレーションと組み合わせることで、反射防止構造の効率的な設計ができることを実証した。さらに、反射防止構造のハイブリッド化は、ナノインプリントを用いてモスアイを積層する際に生じる、残膜や形状誤差に対する性能のロバスト性を向上させる効果があることも明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的の通り、有機太陽電池用反射防止構造に関する解析を行い、多層干渉膜とナノテクスチャを融合したハイブリッド構造を提案すると共に、その有効性を確認することがができた。さらに、最適設計法や性能のロバスト性に関する幅広い検討も行っており、研究全体として、顕著な成果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、光学解析法や最適設計アルゴリズムに関する検討をさらに推進すると共に、提案した反射防止構造の試作・評価を行うことで、発電性能の向上効果を実証することが主要な課題である。
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Causes of Carryover |
今年度の当初予定額に比べて材料等の購入費用が少なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の有機太陽電池の実験での材料費として使用する予定である。
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