2015 Fiscal Year Research-status Report
2種の光受容膜タンパク質を用いたオプティカルフローセンシング技術の開発
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26390051
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
笠井 克幸 国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所ナノICT研究室, 主任研究員 (90359084)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | バクテリオロドプシン / オプティカルフロー / 光受容膜タンパク質 / 光センサー / バイオエレクトロニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
高度好塩菌から得られる光受容膜タンパク質バクテリオロドプシン(bR)は動物の視物質に類似した機能を有し、電極と電界液界面のbRに光を照射すると無給電で時間微分応答の光電流が得られる。本研究課題ではbRの野生型と遺伝子組み換えによる変異体の光応答特性が異なることに着目し、両者を組み合わせたバイポーラ型光センサーをアレイ型に構築することによりオプティカルフロー(相対運動する物体の速度場)の演算機能を有する高機能センサーを開発することを目的としている。オプティカルフローは昆虫が対象や自身の動きを瞬時に知覚するための視覚情報機能であり、本研究で得られる成果を自律移動型ロボット、超小型ロボット、ドローン等の運動制御に適用することが可能である。本年度は、bRの野生型と変異体を組み合わせたバイポーラ型の8x8画素2次元アレイ型センサーを作製して実験を行った。当初は複数の画素から信号が得られないなどの問題があったが、作製したセンサーと電流電圧変換増幅器の改良を行った結果、全64画素からの信号を得ることができた。さらに、8x8画素用のオプティカルフローデータ評価プログラムを作製し、2次元でのオプティカルフローカーブを得ることができた。得られた実験データを基にシミュレーションの改良を行い、オブジェクトの移動速度に対するオプティカルフローカーブの変化を忠実にシミュレーションできるようになった。また、bR薄膜の作製方法として新たにバーコーティング法を導入してディップコーティング法との比較を行った。併せて、bR光センサーの高効率化などの研究も行った。得られた研究成果については、国内の学会等で発表報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
bR野生型と変異体を用いたバイポーラ型の8x8画素2次元アレイ型センサーの開発と評価プログラムを作製し、2次元でのオプティカルフロー検出に成功した。また、得られた実験データを基にシミュレーションの改良を行い、2次元での基本的な原理実証を順調に進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
開発したオプティカルフローセンサーの各種パラメータに対する評価を行い、シミュレーションによるパラメータの最適化とセンサーの高感度化・小型化の検討を行う。得られたデータの分析と最終成果のまとめを行い、研究成果を国内学会・国際会議等にて報告するとともに、研究成果の投稿を行う。
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Causes of Carryover |
本年度末に連携研究者と研究打合せを行う予定であったが、日程上の都合により延期となり旅費分を繰り越すことにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度、連携研究者との研究打合せに使用する計画である。
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Research Products
(5 results)